ブ〇〇コドン 今日の飲み会には遠野がいなかった。
面倒見役がいないことでペース配分を誤ったのか、お開きになる頃にはほんのりと顔を赤くし、定まらない視線でポーッとどこかを眺めている郁弥が出来上がっていた。
「旭、送ってあげなよ」
サラッと貴澄がそんなことを振ってくるが返答は分かっているはずだ。
「逆方向だよ」
「そっかぁ。じゃあせめて酔いが覚めるまで付き合ってあげたら?」
言いながら歩いてニ、三分のところにある公園までの地図を表示したスマホの画面をこちらに向けてくる。
お前も一緒にくればいいだろ、という言葉は飲み込んで貴澄とはその場で別れ、郁弥と共に公園に向かった。
さっきまでのボンヤリとした様子が嘘のように、軽やかな足取りで郁弥が歩いてくれたお陰であっという間に公園に着くと、真っ先に目につくブランコをめがけて急に駆け出した。
1008