死に逝く際の刹那(そうか、これが死に逝く際の刹那か、、、)
喉元に突き付けられた劔、その切っ先の先に己の死があることを認めた。
二槍を手に戦場に立つ覚悟を決めたその日から、何時か来る終焉など隣り合わせと解って居たこと───
【死に逝く際の刹那】
どろりと脇腹から流れ滴った血はあまりにも多すぎたようだ。
握りしめている筈のニ槍を持つ指の感覚も薄れ、地に着いた膝を支える事すら難しい。
只々、無様に倒れることが無いようにと、虚ろになっていく意識を必死でかき集め繋ぎ止める。
この戦が負け戦になると判っていた、戦をするには兵も武器も兵糧も何もかもが十分では無いことも。
軍師と名高い真田の血脈を継ぐからこそ解っていた、この戦、逆転出来る可能性など万が一にも無い、そのことを。
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