髪に触れる 「ナーヤ、お前の髪は綺麗だな」
そう言ってフェイは私の髪に唇を押し当てる。いつもの魔法のようなフェイの行動は意識し始めてからは恥ずかしかったり、むず痒かったりして私を顔を赤くしながら抗議の声を上げることしかできない。
…勿論、フェイが聞いてくれた試しなんて一度もないけれど。
「…そんなこと言うのフェイだけだよ」
「ルヲに言われたりしないのか?あいつなら言いそうだろ」
「…ない、ないよ。言われたとしてもきっと冗談。私を揶揄って遊んでるだけだもの」
「……」
「フェイ?」
「いや…お前はそのままのお前でいてくれ。ナーヤ」
「え、えぇ…それはもちろんだけど」
そんな話をしているとフェイの顔は離れフェイの指先が慣れた手つきで私の髪を結い上げた。
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