サン・ブルー■ボツネタ
風が吹くと花が揺れる。草も靡く。少しずつ着実に息を吹き返しているこの地のなんと強いことか。
少し離れた後方から金属を打つ音が聞こえる。冬が来る前には十分な数の家屋が建つだろう。そのまま追い風に押されて岸壁まで歩く。見下ろせば足元はもう海だった。陸地にほど近い水域はうっすらと油の混じった紫色をしているが、水平線はしっかりと濃い青だ。名前の知らない白い鳥が数羽飛んでいった。多分、守りたいという気持ちはこういう時に浮かぶのだろう。きっとオリジナルもいつか過去にどこかで自らの感情として理解したのだと思う。
だのに、なぜここに立っているのがオリジナルではなく自分なのだろう。どうして戻ってこようと思ってしまったのだろう。