猫の悪戯 にゃあ。
「あら…?」
【死神】と呼ばれる自分に近づく動物…ましてや、子猫が近づき足に巻きつくように擦り寄ってくるとは思わずセレスは身を竦めた。
「ちょっと…あなた、怖くはないの」
にゃあ?と子猫は首を傾げ、それに息を吐いたセレスはしゃがみ込んだ。
「…こんなに間近に猫を見たのはいつぶりかしら」
はじめてかもしれない、と頬を緩めていると子猫は早く撫でろというようにセレスの手のひらに頬を擦り寄せた。
「かっ……かわいい……」
動物との触れ合いに飢えていたセレスは傷つけないようにと細心の注意を払いながらそっと撫でる。それだけで甘えたような声を上げる子猫が愛おしくてたまらなかった。
「あなたってなんでこんなに可愛いんでしょうね」
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