現パロ杉リパ出会編「佐一くん、他に好きな人いるよね」
「え?」
こう言われるのは青天の霹靂ではない。またこのパターンか、と思ったが、目の前の彼女はその反応を別な意味に取ったようだ。表情は「やっぱりね」と言っていた。綺麗に彩られた指先が冷めたコーヒーカップを撫で、俯いた彼女は深い青色のカーディガンを着ている。最近よく着ている色だ、と思いながら他人事のように彼女の泣き出しそうな顔を見つめていた。彼女はへらっと笑った。
「…この色、好きだよね」
自分で着ることはあまりない色なのに、よく言われるのだ。好きな色、と言うより懐かしい色だ。
「…私のこと好きじゃないのわかってたけど、他に好きな人がいるなら告白にOKなんかしないで欲しかった」
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