願いは瞳に降り注ぐ「ふう、ようやく終わった…」
「……」
息を吐く青年の隣に佇む、美しい人形のような彼は、不安そうに青年を見た。本当にこれでいいのか、大丈夫なのかと見つめている。
「そんなに不安そうな顔をしなくても、ちゃんと手続きは終わってるぞ。ほら」
これが証明だと言わんばかりに書類の山を手渡され、それを受け取ればズシリとした重さがあって、たった一つの契約にこれほどまでの書類が必要なのかと、改めてこの国の制度に辟易した。
チアキはフォンテーヌの町工場で働く青年だ。決して大きくはない工場から、いつか大きな希望を送り出すことを夢見ている。「いつか、風の翼が無くても飛び立てる、そんな機械を作りたいんだ。大人数が空を飛べたら、気持ちいいだろうからな!」というのが彼の口癖だった。
36759