その暖かさは、恋の暖かさ。さああ、と静かに雨が降り注ぐ。
一行に浮かばないアイデアに、ずっと宙に浮いたままのペンを置き、ため息を付く。
屋根に当たる雨音を聞きながら、ゆっくりと見つめた先には、自分では到底理解のできないような作業をし続ける、類の姿があった。
練習が休みで、授業も午前授業だった、ある日。
付き合ってからもお互いショーのことしか頭にないオレ達は、次に向けての話し合いも兼ねて類の家に遊びにきていた。
遅めのお昼を一緒に食べて、類から新作の機械の性能を見せてもらって。
そこまでは、よかったのだ。
どうも動きに不調があったらしく、オレに見せた後、すぐにメンテナンスを初めてしまったのだ。
完全に集中し始めたので最初はそのままにしていたが、1時間、2時間と作業は進んでいき、その間類は顔を上げることすらしなかった。
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