宝物の部屋(仮題) 気が狂いそうな青が全て、闇に沈んだ夜。日常とは隔離された特殊空間は、まともな感覚を壊してあらゆる感情を暴走させる。それは眠れる才能の覚醒であったり、押し込めていた欲望や願望の表出であったり。
とにかくいずれにしても、“暴走”と称するのが最も適当。
それまでの日常や人生の中では到底飼い慣らすことが出来ない、剥き出しで歪でありながら、強く惹きつけて止まないもの。
「ん……は……」
押し込めた呼吸が、喉の隙間を無理に破ってにゅるりと顔を出すように。漏れ出した音は温く蕩けて甘い。
呼吸に音があるなんて知らない。ましてや、温度や湿度を纏うと、質量すら持つような錯覚を覚えた。重力に従うままダラリ投げ出した腕の先で指先を動かしても、その先に零れた吐息の塊が引っ掛かることはないけれど。
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