ロナルドくんとあそぼ 月も無く、星の綺麗な夜だった。
『ミカエラ君、三時方向から回って本気の挑発して。彼、君の本気好きみたい』
「その名で呼ぶな。肉体強化を解いていないぞ」
『君の本気で解かせるのさ』
吸血鬼は享楽主義なんだ、と囁き笑ったイヤホンの向こうの声にアイサー、と答え、ミカエラはビルの壁を蹴り路地を飛び出し空中で身を捻った。こちらを見もせずに突き出された掌を避け、渾身の刃でがら空きの胴を斬りつける。
まるで鉄を切ろうとしたかのような手応えと反動をバネに後方へと跳び、アスファルトを蹴って再び迫るとこちらを向いた青い目がにやりと嗤った。その側頭部をマナーのライフル弾が貫く。この一瞬で肉体強化はいくらか解除されたらしい。ただし頭が吹き飛ぶほどではない。
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