「ペパーさん」
「……何だ」
オレは手を動かしたまま、もう片方の手は机に片膝をついて頭を抱える格好で、目線だけをアオイの方へ向けた。傍目にも、今のオレはひどい顔をしているんだろうな。
アオイはいくつかのファイルを抱えたまま、心配そうに揺れる瞳でこちらを見ている。
「大丈夫だ……心配するな。オレ一人でも、なんとかしてみせる」
「……っ、無茶苦茶ですよ」
オレは数日前、ひとつの案件を受け持つことになった。それ自体はいいのだが、半月ほど前に受けた案件も先方から修正が入って調整中、さらにもうひとつ、担当者が辞めてしまい急遽引き継いだ業務もあった。どちらも一人で抱えるような案件ではないが、なんとかスケジュールを調整しつつやっていた。
7495