消えちゃいたい!③「……ということだから、昨日はジャックといたことにしてくれ」
「あのなあ」
呆れたジャックの顔も、何度見たことか。部活を始める前のストレッチをしながら、デュースは両手を合わせて「頼む」ともう一度頭を下げた。
ジャックにこうして口裏を合わせてもらうのも、もう片手では足りない回数だ。やたらとデュースの行動を知りたがるエースに真実を隠す口実として嘘をついて貰うことが最初こそ不思議がられたが、今では詮索もされない。まあ、だからこそジャックにこんなことをお願いしているのだけれど。
そこまでしてイデアと会っていることを隠す必要があるのかと、思い直さないわけではない。それでも、頻繁にイデアと会っているイコール、オタクであると紐付けられ芋づる式に腐男子であることがバレる可能性がゼロではない以上は隠すしかなかった。もっともマジカルホイールについて語っているのだと言い張ってもよかったが、それならイデアが数回でうんざりする様が想像できてしまう。
2617