春夢 見事な桜が咲き誇る地で、兄弟で恋刀でもある小豆と共に歩く
暫く進めば、トーハクの仲間が己をを呼ぶ声が聞こえる
今行く、と手を振り返事をして歩を早めた
「げんきでね、どうかしあわせに」
「え?」
不意に聞こえた言葉にバッと後ろを振り向けば花吹雪が強くなり、思わず目を瞑る
再び目を開けたときには、小豆の姿はどこにもなかった
まるで、花吹雪に攫われてしまったかのように
*
「…はんにゃ。大般若!!」
「はっ…」
身体を揺すられ、名を呼ばれ、意識が一気に現実へと戻ってくる
起こしてくれた犯人は件の小豆で、つい先ほど見た光景が夢であったと知る
「夢、か…」
「だいじょうぶかい?だいぶうなされていたよ」
「あ、あぁ…大丈夫、だ」
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