愛の化身side:R
迎えに来てくれると言うので、事務所のビルの入口で待っていたら道路脇に止まった車から兄が出て来て困ったように笑った。
「そんな暑いところで待ってなくとも良かったのに」
助手席に座れば、後ろにいた妹が身を乗り出して来る。
「小兄、おめ」
「そうじゃった。ヒデオ、お誕生日おめでとう」
*
「スーツはアニキが見立ててくれた。花はヒマリから。同居人にも見せるようにって」
そうスーツ姿のまま花束に顔を寄せて匂いを吸い込む姿はさながら天使のようで。顔がいい男は何をしても様になる。
それで帰って来てもそのままの姿で、夜行性の同居人達の寝起きを待っていたらしい。
彼の家族との昼の祝いの席の話を、ジョンもメビヤツも嬉しそうに聞いている。
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