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    case669

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    case669

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    レオジャミと言っていいのかわからないただの会話文だけ。ついれおにゃ先輩を母性の塊みたいにしてしまう

    ##レオジャミ

    「誰かひとりだけ、好きに殺していいって言われたら誰を殺しますか」
    「……はぁ?」
    「たとえばの話です」
    「テメェはどうなんだよ」
    「聞いてるのは俺ですよ。……まあ、俺も答えに悩んで先輩に聞いてみたんですけど」
    「他人の答えを聞いて自分の答えが見つかる話でもねえだろ」
    「それはまあ、そうなんですけれど」
    「兄貴、と答えて欲しかったか?」
    「いえ。おそらくそう答えないのはわかっているので」
    「テメェの殺したい相手がカリムにならないからか」
    「そういう事になるんでしょうね」
    「他にお前が殺して得になりそうな相手は誰だ?……アジームの当主か?親か?」
    「感情論ではなく、損得勘定で殺す相手を決めると思われたのは先輩も同じだからですか?」
    「テメェの話をしてるんだろうが」
    「貴方の意見が聞きたいんですよ」
    「じゃあ聞くが、テメェが殺意を抱く相手がいるのか?」
    「そこ。そこなんですよ。殺してやりたいって思うことはあっても殺したいわけじゃないんですよね」
    「面倒臭え」
    「貴方も同じでしょうに」
    「だから面倒臭ぇんだろうが」
    「お兄さんの事、好きですか?」
    「嫌いに決まってんだろ」
    「俺と同じですね、俺もカリムが嫌いです」
    「テメェはどこに着地してえんだ」
    「それがわからないからこうして藪蛇突いてるんじゃないですか」
    「自覚はあるのか」
    「だから地雷振り回し始める前に俺を納得させてくださいよ」
    「もう既にお互いの地雷爆発させるしか解決しねぇだろこの話題」
    「それでも聞きたい先輩の御高説」
    「ぶん殴られてぇのか」
    「それが答えならそれでもいいです」
    「真面目に情緒不安定になってんじゃねえよ」
    「爆発する前に甘えに来たんですからそこは誉めてください」
    「はいはいえらいえらい」
    「やる気を感じられない」
    「うるせえ贅沢言うな。……そうだな、対人関係において「好き」の反対は「嫌い」じゃねえってのは知ってるか」
    「これだけカリムの事が大嫌いなのはそれだけカリムの事を意識して期待して裏切られてもなお期待してるからって話ですか」
    「正確には、テメェの理想のカリム像をカリムに押し付けて勝手に裏切られたつもりになって癇癪起こしてるだけだろ」
    「喧嘩ですか?買いますよ?」
    「テメェが求めたんだろうが、最後まで拝聴しやがれ」
    「ありがたやーありがたやー」
    「話を戻すぞ。お前はカリムにそれだけ「欲しい物をくれる相手として期待している」、つまりはカリムの事が大好きって事だな」
    「大嫌いです」
    「別に嫌いだと思う感情も否定はしねえよ。テメェはカリムが好きでもあり嫌いでもある。その矛盾に心が追い付いてないだけだろ」
    「つまりどういうことですか」
    「思春期における気の迷い、反発心、情緒の乱れ、等」
    「反抗期だから仕方がないと?」
    「簡単にまとめればそういう事だ」
    「それは経験談ですか」
    「経験の無い人間がこんなにもめんどくせえ絡み方してくる後輩に優しく接してやれると思うか?」
    「それじゃあ、今はお兄さんの事どう思ってまいひゃいいひゃいひゃいほふぇふははい」
    「テメェのとこも、白黒はっきり答えが出る問題じゃねえ。考えてれば答えが出るわけでもねえ。だが多分、そのうち何処かで落としどころが見つかるだろうよ」
    「おとしどころ」
    「諦めともいう」
    「そうやって先輩は全部諦めたんですか」
    「絵に描かれたステーキを食べようとするのは諦めた」
    「どういう例えですか」
    「存在しない物を得ようとはしない。絵に描かれたステーキは食べられねえが、ステーキを食べるだけならいつでも出来る」
    「俺の自由は絵空事だと思いますか」
    「テメェの努力次第じゃねえの」
    「諦めろとは言わないんですね」
    「お前が望むのが自由だけなら、別に今すぐにだって解決出来るだろ。自由になりたい、でもカリムも家族もなんならアジーム家もか?手放したくねえって欲張ってるから複雑になっているだけで」
    「そこに先輩も加わって余計に悩ませてるんだから責任取ってどうにかしてください」」
    「俺に全面的に介護されて得た自由が本当に欲しいのか?」
    「それは嫌だ」
    「別に俺は権力振りかざしてテメェを国に連れ帰っても構わねえんだがな。むしろそっちの方が楽なんだが」
    「そっちの方がってなんですか何かやらかす予定があるんですか俺誘拐されるんですか身代金目当てですかアジームは金出しませんよ」
    「思春期の坊やにはまだ早ぇ話だ気にすんな」
    「たぶん俺、当事者ですよねえ?ちゃんと説明してくれないと怖いんですけど」
    「何で裸で抱き合う仲の相手をわざわざ誘拐して身代金取らなきゃならねえんだよ」
    「それ以外の目的が思い浮かばなくて」
    「だからまだ早ぇ話だって言ってるんだ」
    「馬鹿にしてます?」
    「そこだけでも伝わって俺は嬉しいぜ」
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    case669

    MEMO黒峰さんの猫じゃみちゃんの絵から書いたカリジャミにゃあ。

    と、ジャミルが鳴いた。
    いつもひんやりとした眉毛をへにゃりと下げて、つり上がった目尻を垂れ下げて、いつもきりりと結ばれた唇をぱかりと大きく開けて、もう一度、にゃあ、と鳴いた。
    「じゃっ……じゃみ、ジャミルが可愛い!!!」
    カリムが思わず頬へと手を伸ばせば、避けるどころか自ら近付いてすりすりと頬擦りされた。更にはそのままカリムの足の上に我が物顔で乗り上がって座り、ちょん、と鼻先が触れあう。思ったよりも重くて足が痛い。けれど、今まで見たことも無いくらいに蕩けきったご満悦な顔をしているジャミルを見てしまっては文句なんて言えようも無かった。
    「……ジャミル?」
    「なあう」
    名前を呼べばふにゃふにゃの笑顔でジャミルが答える。なあに?とでも言ってるような顔でこてりと首が傾き、ぴるぴると頭に生えた猫耳が震えていた。
    ジャミルが可愛い。
    いやいつもの姿だって十分可愛いのだけれど、それはそれとしてジャミルが可愛い。
    感極まって思わず唇を重ねようと近付けるも、ぐいっと二つのぐーにした手で思い切り顔を押し退けられてしまった。
    「ふなぁーあ」
    やーだね、とでも言っている、ような。思わぬ抵抗を受けて 1203