店員Aから贈る言葉 私はいつものように店の看板を引っ張り出して、開店の準備に勤しんでいた。
可愛く書いたメニューがよく見えるように、いろいろ角度を調整する。よし、これなら通りがかりでもきっと目に留まるはず。そう思って満足気に眺めると、店から店長が声をかけてきた。
「おーい、そっち終わったかい?」
「あ、はい! すぐ戻ります!」
いけない、休んでいる暇はないのだ。私は慌てて店内に戻って、カウンターを綺麗に磨く。後ろではパティシエである店長が、さまざまなお菓子を焼き上げている。いつ見ても惚れ惚れする出来栄えで、私は思わずゴクリと喉を鳴らす。
私がアルバイトしているこの店は、色とりどりのケーキを扱っている。中でも苺のショートケーキは絶品で、すぐに売り切れてしまうほどだ。他にも見た目が楽しいフルーツタルトや格別に甘いチョコレートケーキ、甘酸っぱさが最高なレアチーズケーキなどさまざまなスイーツが並ぶ。
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