[2/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス 警備をしていた男性に会釈し、アリスは門を後にした。無意識のうちに緊張していたのだろう、途端に肩が弛緩して呼吸もしやすくなる。
ソロプレイヤーだと明言していた領主ハンニバル=ゴールドは、カードだけでなくボードゲームでも強者であった。彼の都合で今回は一ラウンドのみで解散する流れになったが、ルールを把握出来たこともあり、次回は是非とも勝つまで挑みたい。
「なんだ、せっかく来たのに俺とは遊んでくれないのか?」
正面に見える小道の先からではなく、声は頭上から降ってきた。続けて、ガサガサと葉が音を立て、紅い男が眼前に降り立つ。片膝をついた姿はまさに騎士然としているにも関わらず、笑う瞳はアリスが帰路についたことを言外に責めている。
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