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    mbyu6182

    @mbyu6182 私はめんだこ。人見知り過ぎて交流もリスインも頼めない童顔アラサー殺すぞ吾/何でもありの雑食/腐・夢・18↑・G/地雷の多い方と未成年は踵を返すがよろし/落書きや文章等々/FRB,RT,リプご自由に/無言失敬。
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    天使のテンプレ台詞の理由とは。

    ##悪魔執事はダウナー系アラサー主と共依存する

    御考察 主は自室に執事を招集した。ベリアンを始めとした、年上の執事たちだ。ベリアンが紅茶を入れると、皆を座らせようと、執事を促す。
    「皆にね、天使についての私の考察を聞いてほしくて。」
    熱い紅茶を啜りながら主は淡々と続けた。
    「私はこっちの世界の知識に乏しいから、本当はフェネスも欲しいんだけど…彼はまだ少し、若過ぎる気がして。」
    ハナマル、ルカス、ミヤジ、ベリアンを見やり
    「ってか君らは全体的にデカいんよな…圧迫感すげーわ」
    苦笑いした。
    「まぁ、いいや。取り敢えず、君たちの知性をお借りしたいんだよね」
    「俺は知性とか難しい事はパスだぜ?」
    少し面倒臭そうな顔をするハナマルに、主は少し笑う。
    「必要なのは学力やフィジカル・メンタルじゃないよ。まぁ…その面に於いてもこの面子なら問題は無いだろうけど…私が必要としてるのは、経験値だよ」
    「経験値…とは、天使と戦った経験のことかい?」
    ミヤジの質問に主は首を振る。
    「人間としての経験値、だよ。君たちは私よりも豊富でしょう?だから、ね。私の憶測の有益さを判断するために必要なの。」
    「なるほど…なかなか興味深い話しになりそうだね」
    ルカスが少し目を細める。
    「長くなるから、座って。紅茶やお菓子を口にしながらゆっくり話そう。私自身、ちゃんと理論を完成させられていないから、話が飛ぶかもしれない。メモを取ったり、質問してくれて構わないからね。」
    「緑茶の方が俺は好きだけどね~?」
    ティーカップを持つハナマルに
    「じゃあこんどはハナマルがお茶を淹れてよ」
    「それは…ユーハンの特技だから、俺が取っちゃ可哀想ってもんでしょ」
    少し笑った主は、ティーカップをテーブルに置く。
    「さて…と。私が話したいのは『死になさい、命のために』っていう天使のセリフが気になってるからなんだ」
    「あんなのテンプレートで意味は無いだろ?」
    「無意味な言葉なんて世の中には存在しないよ。こっちの世界では天使は脅威だけど、私の世界では“天使”と呼ばれるモノは神の遣いであり、幸福の象徴なんだ。」
    「幸福の象徴…やはり、主様の世界と私たちの世界では大きな隔たりがある様だ」
    気難しい顔をするミヤジを主は見遣る。
    「そんな事は無いよ。宗教観によるから、私の世界の私の国は、天使や悪魔はあまり気にしない。それよりも八百万の神々、と言われる神様たちの方が、大切にされているんだ」
    「やおよろず…?難しいお言葉ですね…」
    「たくさんの種類の、って意味だよ、ベリアン。つまり、私の住む国はたくさんの神様たちが居るのね。そして…神様はとても平等なんだよ。例えばの話だけど、人は殺さないのに、何故害虫は駆除されるのかな?」
    「それは、害悪があるから、かな」
    「そこだよ、ルカス。害悪があるのは何に対して?」
    「人間………ああ、なるほど。主様は“命は平等だ”と仰りたいんだね」
    「そう。人間から見たら人間は守るべきかもしれないけど、神様からしたら、害虫の命も人間の命も平等なんだよ。そして、天使は神様の遣い。だとすると、人間とその他の命の区別をする事は、無いんじゃないかな。」
    「人間とその他の命を区別しない…か。流石、主様は面白い事を考えるね。」
    「これは私の世界では結構普通の宗教観だよ、ミヤジ。そこでさ、質問なんだけど」
    皆を見回し、一息つく。
    「君たちは、人間の本質は何だと思う?」
    途端、執事たちは考え込んだ。こんなに哲学的な飛び道具を出してくるとは、やはりこの主、一筋縄ではゆかない。
    「君たちは知ってる筈だよ。人間は自己中心的で、傲慢で、強欲な生き物だ。」
    執事たちは黙り込む。そうではない、とは、言えない。夢物語を語らう場ではないのだ。
    「人間はね、自分の尺度でしか物事を測れないんだよ。しかも、それは経験値に由来する。だから、年長者の尺度は揃ってゆくし、平均化される。けれど、その頃には死に絶え、若人は自己中心的な尺度で間違いを犯し続けるんだ。」
    間違ってはいない、かもしれない。だけれども、あまりにも、希望が無い。
    「世の中は戦争と貧困と飢えに満ち溢れてる。これは私の世界も同じ。じゃあ、最初の話に戻るね。私の世界では、天使は幸福の象徴なんだ。でも、現状はどうだろう?戦争や貧困や飢えは幸福とはかけ離れてる。もし、この世界で、天使は幸福を守るための存在だとしたら、現状を受け容れるかな?」
    「待ってくれ、主様…それではまるで、天使は幸福へ導くために人間を消しているような…」
    「そうだよ、ミヤジ。私の仮説はね。幸福じゃない命を消してしまえば、平等に幸福な命だけが残る、って話。」
    主は無機質な眼差しを執事に向ける。
    「事実論を言おうか。人間が減れば戦争は無くなり、貧困や飢えも減るよね。土地を奪い合う必要も無くなるし、日々生きる事に必死になるから、逆にお互いを思いやれるかもしれない。もしくは、人間は戦争や開発で土や水を汚染して、そこに居る命を不幸にしている。それを減らす事もできる。つまり、人間を無作為に効率的に減らせば、命は幸福になるわけだ。天使の目的は、それじゃないかな。幸福な命をつくるために、命を削減する。そうだとすれば、天使のセリフもなんとなくわかるような気がするんだよね。」
    しん…と静まる、室内。筋が通っている、というわけではないだろう。主が言った言葉が全てではないだろう。言葉として紡ぎ出した、その何十倍も、この人は脳内に考えを廻らせている筈だ。その中でも、なんとか形にして伝えてくれた内容は、希望とは無縁だった。
    「私はさ、はっきり言って、人間の命なんてどうでもいいんだ」
    主は少し伸びをして、背もたれに凭れ掛かる。
    「だって人間って、頭が悪いんだもの。自己利欲のために争って、貧困と飢えから抜け出せない。そんなモノのために、君たちの大切な命を賭ける価値は無いと思うんだよね。」
    「主様…」
    ベリアンの呟くような声掛けを、主はスルーした。
    「私たちはデビルズパレスに閉じ篭ってさ、世界は天使に壊滅させてもらって。君たちは不老だからね、私が死ぬ迄は一緒に居てよ。その代わり、私が死ぬ時は、ちゃんと皆を殺してから死ぬからさ。それが、本音。君たちを失いたくないんだよね、誰一人として。君たちを失うくらいなら、この世界全てを敵に回すよ。君たち以外は要らないからね。私が天使と内通しても構わない。」
    ゆっくりと紅茶を啜る主は、ぬるくなった、と苦笑いした。



    END 2023.09.30
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