悠久とも言える時を過ごしてきた俺の身体は、使いものになるのだろうか。
随分と触れていない自分のものに指を絡めてみる。
声が出そうになって、もう片方の手で口許を覆い、指を柔く咬んだ。
その時。
脳裏に浮かんだのは、奴にされた行為。
身体中を這い回り、隙間という隙間を埋め尽くされた忌まわしいもの。一方的に刺激を与えられ、昇りつめて果てる。
繰り返し、繰り返し。
奴のせせら笑う声がいつまでも耳の奥を擽り、ただ、快楽を追うだけの凌辱ともいえる行為。
膨大な時間を過ごしてきて、忘れかけていた記憶が蘇る。
「…っ、…ぅッ…、ぐ……!!」
襲い来る吐き気と嫌悪感に膝を折り跪き、忙しない息を吐いた。全身から冷や汗が吹き出して、心臓は早鐘を打つ。目を見開き、奴の姿はどこにもないことを悟るとゆっくりと深く息を吐いた。
「…はッ、……情けねぇ、なぁ……」
自嘲ともいえる呟きが口から洩れた。
けれど。俺は気付いた。
アレンに深いキスをされた時にはこうならなかった。
「……思い過ごしか」
俺の口から大きな溜め息が出た。
螺旋の最初のころ。ヘッグの腹の中でもしちゃってたから、そこを付け入られて弄られて(意味深)たり…とかとか。長すぎる時間を過ごしてきたし、記憶から消去してたけど思い出しちゃった感じ。
あ、籠絡させるのに使った手でも良いですね…(酷)