「何で地域の運動会なんか……」
ぶつくさと文句をこぼし続けるKKを宥めながら赤く平たい紐を首に回し緩く結ぶ。
「ネクタイじゃねえんだぞ」
「いいからいいから、仕事だと思ってさ」
実際に仕事である。どうもこの伝統ある地区運動会を邪魔する不届きものがいるとか。大方盛り上がる体育系側とやる気のない文科系側の軋轢がというのがエドの見解である。何にせよ参加すればわかるということで僕が走ってKKが見張っているという予定だったのだが。
「綱引きで年代別リレーに出るはずだった四十代の人が怪我したんだからさ」
「ピンポイントすぎるだろ……」
何かの意図を感じないでもないけど、現状霊視しても何も出てこないので進行を補助する他ない。
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