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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    ユウさん(@namakomesi )とジャックさん(@Kuraki_kazuma )と流れでダブルデートする🦍と🐇さんの話

    #ディンエラ

    買物 新商品のカットソーを棚から取り出し、ヴィエラは自身の胸元へと当てる。シンプルながら襟のデザインが可愛く、手持ちの服とも合わせやすそうで微かに口角が上がった。買ってもいいかもと値段を確認するとデザイン程可愛くないお値段で口角がすかさず下がってしまう。残念ながら予算オーバーと小さく肩を落とし、簡単に畳んで棚へと戻した。それでも手ぶらで店を後にするのも悔しくて値下げされている棚まで向かう。セール品でも良さそうな品があったが普段は着ないような色しか残っておらず、まぁそんなもんだよね、と眉を顰めつつ広げては見比べてを繰り返していた。何枚目かを持ち上げ目線の高さで広げていた際に、見覚えのあるエレゼンと棚越しに視線がかち合う。
    「あ、」
     どちらともなしに漏らした言葉が綺麗に重なった。商品ごと下ろした手の内、片方を挙げて挨拶すると、彼もにこやかに応じてくれる。
    「いいよね、ここ」
     シンプルで合わせやすい、との彼女の発言に微笑んだ彼が頷いて答えた。ジャックさんも来るなら納得のセンスだ、と納得する彼女に買われるのですか、と首を傾げ彼に微かに唇が歪む。
    「何か欲しいんだけど……これは色が微妙かなって」
     あんまり着ない色だしなぁ、と淡い色合いの衣服を身体に沿わせると確かにと彼も同意してきた。
    「しるこさんの顔立ちやプロポーションなら、もっとはっきりとしたカラーリングのが映えますからね……」
     普段身に付ける色の同系色ならどうか、手持ちのアウターなどは、と口々に話し合う。その結果これならと納得のいく買い物が出来て、紙袋を手にほくほくと彼女は店を後にする。
    「なんか、付き合わせちゃってごめんね?」
     普段買い物に付き合っているルガディンからは出ない視点でのショッピングはなかなかに新鮮で盛り上がったものの、彼は商品を購入することなく彼女に続いていた。一度瞬かせた目を細めた彼がいいんですよ、と柔らかく微笑んだ。
    「シャツ系は他の店で買ってるので」
     彼の返答にほほう、と彼女の目が輝く。
     結局その後は彼と共に服屋を梯子し予想以上の紙袋が二人の手元に提げられていた。そろそろ限界かも、と耳を垂らせた彼女が呟くと、休憩しましょうか、とすかさず彼が近場のカフェへと案内してくれる。

     物静かで穏やかな店内の奥、テーブル席へと案内されようやく二人は一息ついた。とりあえずアイスコーヒーを二人分頼んでからしるこは興味深そうに店内に視線を向ける。隠れ家的な雰囲気が良い感じだと思っていると、
    「夜はバーになるんですよ」
     カクテル等も美味しいんです、とジャックが微笑みかけてきた。いいねぇ、と彼女も釣られて笑ってしまう。和かな二人が視界の端の手荷物を捉え、どちらともなく口から小さく溜息が漏れた。とりあえず、とお互いリンクシェルで相手を呼び出せないかと耳に手を添える。
    「ううん、来たことないカフェ。良い雰囲気だよ」
    「そんなこと言って。用事を済ませてからでもいいんですよ?」
     少し談笑してから二人はほぼ同じタイミングで通信が切れた。タイミングを見計らったようによく冷えたアイスコーヒーが届き、二人は店員に礼を述べた。
    「来られそうですか?」
     方向音痴な相手を気遣ってくれている彼の問いに苦笑して頷く。
    「ダメそうならエタバンリング使うって」
    「それは安心ですが、ちょっと店の外に行かないとですね」
     くしゃりと彼もつられたように苦笑した。
     お互いの相手を待ちながらアイスコーヒーを飲みつつ、他愛無い話をしていた。

     先程買った服を用いたミラージュプリズムをどうするかなどで盛り上がっていると、
    「待たせたな」
     のそりとルガディンが二人揃って顔を覗かせた。近くで合流したんだ、とジャックに説明するルガディン──ユウの後ろでもう1人のルガディン、カズが気まずそうに佇んでいる。席を詰めて入口側に腰を下ろせと促さんばかりに隣を軽く叩く先客二人に、ルガディン二人は苦笑して応じた。
    「昼食は済ませました?」
     一度目を瞬かせた二人が首を振ったのを見て、それはよかった、とジャックがメニューを手に微笑む。
    「ここ、ランチも絶品なんですよ」
     広げられた紙面にはワンプレートのランチメニューの写真が説明文と共に載せられていた。主食が魚と肉で分けられており、小皿に盛られた何点かの副菜やサラダなどがまとまりよく盛られていた。いいな、と呟いたカズと美味しそ〜、と目を輝かせたしるこを残りの二人は微笑ましく眺めていた。
    「美味いし、結構ボリュームあるから満足感もすごいぞ」
     並んだカズとしるこが見やすいようにメニューを回転させながらユウが呟くと、ほほう、としるこが唇を尖らせる。食べ切れるかなぁ、と独りごちた彼女にその時は手伝うか、とカズは苦笑した。その返答に満足したのかにっこりと微笑んだ彼女はどれにしよっかな、と歌うように呟きメニューを真剣に見つめる。その横顔を一瞬見つめてから視線をメニューに移したカズの横で魚だなぁ、と顎に手を添えて彼女が呟く。そうだと思ったと言わんばかりの表情で頷いた彼に、彼女が視線を移した。カズは?との問いに丁度肉の気分だった、と答える彼を三人は微笑ましく眺める。既に決めていたらしいジャックが店員に声をかけ、注文をとってもらった。

     注文の品が届くまで、ジャックとしるこは最近の金策に適切な素材や最近行って良かった店などに花を咲かせていた。カズとユウはというと、そんな二人を微笑ましく眺めていた。話題に挙がったカフェに目を輝かせたしるこが、カズの方を向き今度行こうね!と急に話題を振ってくる。不意打ちのような彼女の発言に虚を突かれた彼が一拍置いて頷くと、彼女は満足げに微笑んだ。話もひと段落したのか、仄かにレモンの風味がする水を一口飲んだジャックがポツリと呟く。
    「買い物に連れて行くには嵩張るんですよね」
    「わかる」
     主語が省略されているのにも関わらず間髪入れずに同意したしるこが悪戯っぽい笑みを浮かべ、口元に添えていた冷水のグラスを離した。
    「商品見てると一回は棚とかにぶつかってる気がする」
     しるこの発言にジャックは目を細め頷く。
    「あるある。こぢんまりとした雑貨屋とか入りづらいからって、外で待ってくれてたりだとか」
     わかるぅ!と楽しそうな二人の横で嵩張る当事者達は苦笑するしかできなかった。他愛のない話で盛り上がっている内にスープが運ばれてきた。もうまもなくプレートもお持ちしますと言い残し立ち去った店員にそれぞれ会釈を返す。楽しみだなぁと呟いたしるこにカズが微笑みかけると、期待していてくれと言わんばかりにジャック達も深く頷いた。

     続けて運ばれてきたランチプレートに各々舌鼓を打った後は、セットのドリンクを飲みながらの話題はこれからについてだった。
    「近くに気になる雑貨屋、あるんだよね」
     ストローでアイスコーヒーをかき混ぜながら呟いたしるこに、もしかしてとジャックが店名を告げる。
    「そこ!こぢんまりしてて中の様子わかりづらくて気になってて!!」
     目を輝かせて頷くしるこにジャックはいい感じの店ですよ、と微笑んだ。
    「他にはない商品も多いし。店主の好みで季節毎に異なる、良質の茶葉も仕入れられてますよ」
    「最高!」
     盛り上がる2人の横で今後の展開に薄々予想がついてきたルガディン2人は残り少なくなったグラス内に目を落とす。今から行っちゃおうかな、明日定休日だからいいと思いますよととんとん拍子に進んでいく2人へ視線を戻し、グラス内の飲み物を一気に飲み干した。
    「この後予定大丈夫だよね?」
     興奮のあまり微かに紅潮した頬のしるこの質問に、ユウとカズは揃って頷いて答える。
    「では、行きましょうか」
     スマートに立ち上がって伝票を長い指で摘んだジャックしるこに続いて、ルガディン2人も荷物を手に立ち上がった。

     件の雑貨屋は先程のカフェからさほど遠くはなかった。季節の花で彩られたプランターが店頭を飾ってはいるが、種族によっては3人で店内を覗くのも難しいかもしれないといった佇まいだった。注意書きこそないが、2人までしか入れないんじゃないかと店内に目を走らせていると、ジャックとしるこがくるりとこちらを振り返る。
    「じゃあ、ユウはかさばるのでここで」
    「ちょっと狭くなっちゃうし、ディンも待っててね!」
     掌を向けてにこやかに言ってきた2人を見送り、店の前に用意されているベンチにユウは腰を下ろした。いいのだろうかとカズが逡巡していると、そのために用意されてる、とユウがニヤリと口角を上げる。
    「最初はここまで手狭な店じゃなくてな。店主が気に入った商品を取り扱っている内に……って訳だ」
     そう呟きながら店に向かってユウは手を振った。よく見ると窓枠ギリギリまで商品らしき雑貨が並んだ窓越しにララフェルが手を振ってきている。噂の店主だろうかと思いながら会釈するカズにも、にっこりと笑顔を向けてくれた。
    「噂をすれば、だな。たまに商品に店主が紛れ込んでるぐらい、いろんなものがあって楽しいぞ」
     また今度来た時は是非覗いてみるといい、と手を下ろしたユウがこちらに顔を向けてくる。
    「そのおかげで店内を堪能できる客が少なくなるのが忍びないということで、外でのんびり待てるようにベンチ等が設置されだして、今に至る」
     腰を下ろしているベンチを軽く叩きながら説明を終えたユウになるほど、とカズは頷いた。他愛のない話からその内惚気話へと内容を変えながら、ルガディン2人は相手が戻ってくるのをのんびりと待つことにした。待ち遠しいような、もう少しこの時を楽しんでいたいような、そんな時間だった。
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    mitotte_kazu

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    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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