身体 袋の中からメダルを取り出し、枚数を確認する。必要枚数には微妙に足りておらず、微かに溜息を吐いて元に戻した。その様子を眺めていたヴィエラが何かを察したように立ち上がり、あと何枚?と声をかけてくる。少し間を置いて無言で枚数分の指を立てて答えるとあからさまに肩を落とし溜息を吐かれ、苦笑してしまう。
それでも必要枚数が揃うまで付き合ってくれた彼女に礼を述べた。フェイトが終わる度に生じる倦怠感と体力のラグからぐったりしている彼女に向けて白魔法を放つ。ありがとー、と疲労を隠し切れない彼女が頬を緩ませた。視線を下ろし彼女の露出された肩や胸元を見つめる。ヴィエラ族らしい細身だが豊満な身体や彼女の好みに合わせて投影された装備は見た目の割に防御力が高いのだといつか誇らしげに言っていたのを思い出した。それでもその身体に刻まれた傷跡は少なくはないのだろう。
知人のミコッテに教わっていたのでヒーラーとしての立ち回りや必要性はある程度理解していた。彼女が冒険者を志した時には自ずとそういう役回りを選ぶのはある意味仕方なかったと思う。それでもこの体躯を持て余しているのではないかという考えは常に頭をよぎるし、自分が盾役を担えば彼女がそういう傷を負う事も少なくなるのでは、とも考えてしまう。一度の詠唱では回復力が足りず、再度詠唱を始めながら幾つかのジョブを思い浮かべていた。
ぺちん、と額を軽く叩かれ我に帰る。
「目付きがやらしい」
どこか諌めるように上目遣いで見つめてくる彼女を少しの間見つめ返して謝った。そういうつもりはなかったがそう見えていたなら弁明しても仕方ないだろうなと思い、あえて普段通りの口調で返す。
「そう思うなら、もう少し露出を控えたらどうだ?」
お断りします、と悪戯っぽく笑う彼女に苦笑しながらチョコボに跨った。