conflict梅雨の晴れ間、その日は珍しく日差しが強い日だった。
白い綺麗な船が東京湾に沈んでから数ヶ月、香はあの時の記憶を相変わらず取り戻しておらず、ある意味元どおりの日常に戻っていた頃、香の留守中に冴羽アパートの電話が鳴った。
「はいはい、冴羽商事…、ああ、教授」
獠は受話器の向こうの言葉に、少し驚きながらも、耳を傾けていた。
しばらくし、話を終わると受話器を戻しながら、獠は深いため息をつく。
リビングを見回し、家の中に香の気配がないのを確認すると、獠は愛車の鍵を持ち、ソファの隅にかけてあったジャケットを羽織り、部屋を出た。
ガレージに降りると、数台の用途の異なる車と共に愛車のミニクーパーもそこに停まっていた。
ガレージのシャッターを開け、車に乗り込みエンジンキーを回す。
4820