真紅のリップを指で乱してその街頭ポスターを見た時Foxの人生はまた新たに動きだすのだ。
街頭ポスターにはある男が映り、儚げで色気を備える何処か不思議な強さを魅せる男が、黒の背景に赤に黒を数滴入れたような真紅のリップは男をとても引き立て、そしてグレーのシャツを着て上から釦を数個開けた男はFoxに見覚えがあり、彼が今も探し続ける嘗ての恋人だった。
彼を探すのに人生を生きるのにコンビクトとして嘗て局長に会った歳になるが見つからず今になる。何時になったら見つかるのだろう、若しかすると此の儘見つからないのでは無いのだろうか、Foxはそれに恐れていたがそれも今日までだ。
「…………見つけましたよ。局長」
Foxは鋭い目を三日月にして口端を弧をかくと呟くようにそう言ってその場を立ち去る。
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