特別個人授業 厳粛な教会には清廉な少年で構成された聖歌隊が存在している。
その中でも僕は最年長の方で、聖歌のお勤めよりも聖歌を教えるクラーク先生のお手伝いをすることが多い。
……今日も、彼に言い付けられた通りに支度をして彼の執務室へと向かう。
「……クラーク先生、教材の楽譜をお持ちしました」
「ありがとう、イソップ。机の上に置いてくれるかい?」
「はい……」
クラーク先生が部屋の扉を開けてくれ、よたよたとした足取りで部屋の奥にある執務机へと足を進める。
背後でクラーク先生が扉を閉め、かちゃりと鍵の閉じた音が聞こえた気がした。
「あの、クラーク先生……」
「あぁ、そのまま、動かないで」
背後に立ったクラーク先生が僕を執務机と先生の身体で挟み込むように閉じ込めて、逃げられないようにか体重を掛けてくるのを倒れないように机へ手をついてしまう。
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