5/5 無配🐯🐶◇注意
・このお話の虎トウは同棲しています。
・もんトラともんトマも恋心をお互いに抱いているため、飼い主の真似をしていちゃつきます。
・もんトマはトウマよりも素直で、もんトラは虎於よりもヤキモチ妬きです。
・もんトラはいつのまにか人の言葉を覚えました。可愛こぶりたいのでトウマの前ではもん語で話してます。
以上踏まえた上でご覧下さい。
※こちらの作品は公式に一切関係の無い、二次創作となります。
◇
【朝のはなし】
ぴぴぴ、と優しい目覚ましの音が鳴る。
この音はトウマがとある2匹のために用意した、うるさくない目覚まし時計だった。もんトマはパタパタと小さな羽を動かし、もんトラとの愛の巣の近くに置かれている目覚ましの音を消す。
少し離れたところにある目覚ましを消すのは羽のあるもんトマの役目だ。ぺちっ、と小さいボタンを押せば鈴の音が止まる。その音が止まったと同時にもんトラの瞳もゆっくりと開いていく。
「トマッ、ト〜マ!」
「トララ、トラ」
おはよう、おはようと言い合う2匹。
もんトマからちゅ、ともんトラの頬へキスをするとよく手入れのされたふわふわの毛並みがもんトマの頬を擽る。2匹はキャッキャと小さなベッドの上を転がり、コロコロと朝日を全身に浴びる。
「トママ、トマ?トマ?」
「トラ、トララ…トラ」
とうまととらおは?まだおきてねぇの?
あぁ、ふたりは…まぁ
時計の針は既に10時を超えている。この時間まで2人が部屋から出て行った気配がないということは、今日あの2人は仕事は休みなのだろう。
久しぶりに2人が休みならば遊んで貰いたい、そんな期待の目がもんトマから見えるが、もんトラは気まづそうにもんトマから視線を外した。
「トマ?」
「トララ、トラトラ」
「トマ〜ッ!トマッ!」
とら?
とうまととらおはまだねてるんだ、さきにごはんにしないか
めしっ!きょうなんだろうな!
先程までトウマと虎於の行方を気にしていたもんトマはもんトラが放った一言にて遠くへ投げ捨てられる。パタパタともんトラをぶら下げ部屋の中を飛ぶもんトマ、虎於が2匹のために用意してくれた専用の扉を開けた。
「トマ?トマ〜ッ!トマ!」
「…トラ、トララ」
「なんだ、もう起きてきたのか?もう少し寝ててもいいのに。今日は出かけないぞ?」
とらお!とらおっ!おはよう!
…なんだ起きてたのか、おはよう
キッチンでコトコトと何かを煮ている虎於、上半身には何も身につけておらず、寝癖も直していない。そんな虎於の広い背中にぴょんと飛びつくもんトマ。そしてキッチンの調味料が置いてある付近に座るもんトラ。
鍋の中身は暖かいミルクスープのようだった。キャベツにベーコン、人参の入ったスープはもう少しで完成するのかくつくつと小さく泡を立てている。
「はは、もんトマは朝から元気だな。お前もスープ飲みたいか?」
「トマ〜〜!トマッ、トマッ!」
「そうかそうか、じゃあトウマの事起こしてきてくれるか?」
のみたい!とらと、おれのぶん!
もんトマの言葉が虎於に通じているのかは分からない。だが、虎於が微笑んだのを肯定だと捉えたもんトマは調味料置き場でムスッとしているもんトラを置いて、トウマの寝ている寝室へと向かってしまった。
ムスッとしているもんトラに虎於が笑いかける。虎於が触れようとすれば、ぺしっと尻尾で手のひらを叩くもんトラ。そんな姿にまた虎於が笑う。
「なんだ、もんトマがいなくて寂しいのか」
「……トウマは…とらおのほうがすきなんだろ。おれよりも、ずっとずっと」
「そんなことないさ、もんトマはお前のことを大切に思ってるだろう」
いつのまにか言葉を覚えたもんトラ、まだ拙くはあるが虎於の前だけで見せるその姿が虎於は好きだった。
もんトマが話せないことを気にしないように、もんトマの前では普通に話さないもんトラ。そんな優しいもんトラのことをもんトマも好ましく思っているのを虎於は知っている。
コツン、ともんトラの額を小突いて虎於は丸い体を掬うように肩に乗せた。185センチの景色から見る家の風景、もんトラがふわふわとした体を虎於の首筋に寄せる。
「今日はトウマと映画を見ようって言ってたんだ。もんトラの好きなものを見よう」
「…ひすとれんじゃーの…げきじょうばんがいい」
「奇遇だな、俺もそれがいいと思ってた」
もんトマは先程叩いてしまった虎於の手の甲を見て、小さな声で「たたいてごめん」と呟く。
そんなもんトラの姿に虎於は微笑みながら「ほら、お前は誰より優しいさ」としょんぼりと倒れた水色の角を撫でるのだ。
◇
【昼のはなし】
虎於の作ったミルクスープを2人と2匹が飲み干し、昼の陽気に微睡みながらも大きなテレビの前で虎於ともんトラの選んだヒストレンジャーの劇場版を見る。
虎於ともんトラは何度も何度も見た作品のようだが、食い入るように画面を見つめ、もんトラに至っては画面にめり込んでしまいそうな程だった。
そんな1人と1匹を愛しそうに見つめるトウマともんトマ。映画にも目を向けながら、虎於ともんトラに視線を向けるのもこの映画鑑賞の醍醐味だ。
「もんトマ、コーラ飲むか?」
「トマッ!……〜〜!トマ〜〜ッ!トマッ!」
のむっ!〜〜!しゅわしゅわ〜〜っ!うまいっ!
毛並みと角と羽をぶわっと逆立て、もんトマはトウマから差し出されたコーラを1口。気に入ったのか何度もトウマの手から奪ってはその度に毛を逆立てている。
トウマはそんなもんトマの姿に笑って、そんな笑い声につられたのか虎於も肩を震わせている事に気付いた。あまり依存性の高いものを飲ませるなと虎於は言うが、トウマはこのもんトマの表情を見るのが好きなのだ。
「ふぅ、やっぱりヒストレンジャーは何度見てもいい」
「もんトラもトラがいない時だって見てるんだぜ?なぁもんトラッ!」
「トララッ!トラトラッ!トラッ!」
とうまがつけてからしごとにいくからな!もうとらおよりもみてる!どうだ!
虎於とトウマが仕事中、この大きなソファーの上でもんトラともんトマはこの映画を何度も何度も繰り返し見るのだろう。キラキラとした瞳でテレビを見るもんトラを愛しそうにもんトマは見つめるのだ。
もんトマがトウマだけに話す、もんトラとの惚気。幸せそうに笑うもんトマを見ているとトウマも幸せになれるのだ。
興奮のあまりぺちぺちとテレビ台を尻尾で叩くもんトラをもんトマが抱え、飛んでローテーブルへと移動する。
「トマッ、トマ〜!トマッ!」
「トララ、トラッ、トラ!」
とうま、おなかすいた〜!ごはん!
トウマにはスープだけじゃ足りなかったみたいだ、おれも、はらへった!
ローテーブルの上でトウマと虎於に何かを訴えようとぴょこぴょこ飛び跳ねる2匹。時間的にお腹が空いたのだろうと思った虎於がピザの出前でもとるか、と呟くと2匹の瞳の色が確かに変わった。
「トマッ!トマッ、トマ!」
「トラッ!トララ……トラッ!」
ピザっ!ピザッ、ピザ!
おれっ!てりやき……シーフード!
虎於の目の前でぴょこぴょこ飛び跳ねる2匹、もんトラももんトマも食欲旺盛でMサイズのピザ1枚くらいなら2匹で食べてしまうのだ。
この前なんて虎於とトウマ用のピザも食べてしまい、2人の夕飯がなくなる事件が起きた。その時虎於がこの小さい体のどこに…と心配したのは言うまでもない。
巳波が言うにはもんは食事を必要としないから、ただの娯楽として食べているので太るなどの心配はないと言っていたが、それでも心配になるのが飼い主心だ。
「てりやきと…シーフード、トウマ何がいい?」
「俺この明太もち気になるな」
「明太もちと…イタリアンも頼むか。あとスティックポテトもあれば食べるだろ」
「ははっ、トラ撮影期間終わったからたくさん食えよ?」
「流石に体重落とせって言われる撮影はもうコリゴリだな…」
「筋肉量戻さなきゃ次のライブの衣装緩くなるもんな」
筋肉を増やすにはまずは体重から、の虎於は次々とジャンクフードをカートの中に放り込む。稀にこういったジャンキーな食べ物が食べたくなるらしい。
そうして何枚かのピザと追加の飲み物を頼み、スマホをソファーの隅へ虎於が放り投げる。そしてトウマの肩を抱いたかと思えば、健康そのもののトウマの頬へとキスを落とした。
「ッ、トラ……おまえッ…」
「ピザが来るまでだ、キスだけ」
「…ふはっ、かぁいいトラ。いいよ、ほら」
ちゅ、ちゅとキスを送り合う2人。そんな2人を目の前にもんトマともんトラも互いの頬にちゅ、とキスを送り合った。
◇
【夜のはなし】
「トウマ!もんトマ出てくぞ!」
「よっしゃ!来い!」
午後8時、浴室には賑やかな1人と2匹の声。本当は2匹と2人で入りたいのだが風呂に興奮したもんトマがいつも脱衣場で入浴後大暴れするのだ。
そのため今日はトウマがもんトマの回収係となっていた。浴室の扉の前でトウマがバスタオルを持ち構え、虎於の合図と共にもんトマを捕まえる。
「トマ〜〜〜ッ!トマッ!トママ〜〜!」
「どわっ!はははっ!今日も元気だなもんトマァ!」
トウマ〜〜〜ッ!きいてッ!おふろが〜〜!
今日は比較的大人しくトウマの元へ飛び込んできたもんトマ、しっとりとした体を優しく拭きあげ、風邪をひかないようにすぐにドライヤーにかけてやる。
温風と冷風を使い分けもんトマを乾かしていくが、未だもんトラが出てくる様子はない。トウマは浴室の外から中にいる虎於へと声かける。
「トラ〜〜!もんトラまだ出ねぇ?」
「もう少し浸かってから出るらしい!俺がもんトラは乾かしておくよ」
「了解〜!じゃあもんトマのことリビング連れて行っちまうな!」
楽しそうにトウマと話していたもんトマの声が聞こえなくなる。浴室の中のもんトラは洗面器の中で暖かい湯に癒されていた。
「どうだ、もんトラ。今日の入浴剤は」
「わるくない、このにゅうはくしょくはここちいい」
「トウマが好きな入浴剤なんだ」
「…とらおはトウマとふろにはいらなくていいのか?」
「…入りたくないと言えば嘘になる。だが大人の時間はこれからだ、お前にも分かるだろう?」
トウマにも色々準備があるからな、と続ける虎於にもんトラはため息をつく。下心アリと言うことか、そんなもんトラのため息の意図に気付いたのか、虎於が湯でひっとりと濡れたもんトラへと触れる。
「それもあるがお前たちとの時間も大切にしたいんだ。普段は仕事で全く構ってやれないからな」
「……おれとトウマも…ふたりとすごせるのはうれしい」
「いつも寂しい思いさせてごめんな」
あの日虎於に拾われ2匹は虎於の家で過ごすことになった。アイドルとして活躍する忙しい2人、家に居ないことはザラで寂しくなる時もあるが、こうやって休みの日はたくさん2匹を愛してくれる。
そんな優しい2人がもんトラともんトマも大好きだった。
「だからよるはふたりですごせ、トウマとふたりのじかんがおれもほしいからな」
「はは、そうか。じゃあ遠慮なく夜はトウマを独り占めしようかな」
逆上せるから出よう、虎於の手のひらに飛び乗るもんトラ。この大きな手のひらがもんトラは好きだった。
︎✿
「トママ、トママ、トマトマ」
「へぇもんトラは喋れるんだな」
「トマッ、トマト、トマ、トマトマ」
「お前が気にするからって俺ともんトマの前ではもん語で話してんのか!すげぇな!」
風呂上がりのアイスを食べているもんトマの話を聞くトウマ。何故かもんトマの話している事だけトウマは分かるのだ。もんトマ用のスプーンにバニラアイスを乗せてやれば、もぐっともんトマは飲み込んでいく。
「トママ…トマトマ、トママ」
「気にしないのにって…まぁそれがもんトラの優しさなんだろ?」
「トママ、トマッ!」
「そんな優しいもんトラだから、お前も好きになったんだ。俺と一緒」
トウマはとらおのどこがいちばんすき?
「……誰よりも優しくて強いところ、もちろん弱いところも全部愛してるよ」
トウマもおれといっしょ
「俺たちよく似てるもんな、夜はもんトラと2人でいたいんだろ?」
とらにだきしめられてねるの、すきなんだ
「……ふはっ、そんなところも俺と一緒なんだな!じゃあ夜はお互い好きな人独り占めしような」
もんトマとトウマが小指と小さな手で指切りをする。
愛しい恋人がお風呂から出てきたら言ってやるのだ、きっと何話してたんだ?と彼らは聞くだろうから。
「内緒だよ!」
ないしょ!
これはとあるアイドルグループに所属するアイドル2人とそんな2人に飼われている2匹の恋と日常のはなし。
(続)