アンバーIF キサ走る
…走れ
………走って
ひたすらにあの人の元へ
どうして、なぜ、なんで、色々浮かんでは消えるけれど
そんなのはもう関係ない
あの人にもう一度逢いたい
あの人の声が聞きたい
もう一度、もう一度……
それだけで私の足は動く
「……根地先輩っ!!!」
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夕日の反射で視界が歪む
汗が頬を伝い体にまとわりつく
瞳が体が痛みを訴えるがそれを無視してひたすらに海を目指す。
今この手にある手掛かりは海と岸辺だけ
数万箇所ある中で彼のいる1つを見つけるなんて常軌を逸している。
けれど私は確信していた。彼に逢えると
導かれるように私の足は
波飛沫が静かに寄せる岸辺へと辿り着いた
「はぁ……はぁ……」
……見つけた……
断崖に身を置き、真っ直ぐ茜色に揺らぐ波間を見つめる根地先輩
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