人でなしの恋 これは、とある本丸のとある刀剣男士達による物語。
カツンカツンと靴底を鳴らしながら山姥切長義は白いリノリウムの廊下を歩いていた。
窓のないコンクリートの床、白い蛍光灯が影さえ許さない明るさで照らす――ここは、政府のとある施設。
此処には、罪を犯した刀剣男士が収容されている。
(まったく、なんでよりによって俺があれの担当をしなければいけないんだ! )
これから対面する相手を思い浮かべて、長義は苛立ちのままに早足で歩いた。
(だって、あの男――)
この施設にその刀が連れてこられた時、長義はちらりとその姿を見ていたのだ。
あれはとんでもない。
あれは、異常だ。
狂っている。
たった数秒で長義がそう思った刀とは、
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