繋いだのは花の色汚い嗚咽とともに、口から何かが溢れた。
嘔吐物しかないはずだと高を括って視線をやった俺は、酷く驚いた。
「………は?」
そこにあったのは、数枚の黄色い花びら。
しゃがみ込んでつまんでみると、それは微かに濡れていて。
灰色の路地裏に似合わないその色は、まるで現実的ではない事実を形作ろうとしていた。
*
「嘔吐中枢花被性疾患です」
「………は?」
藁にもすがる思いで、たまたま目に入ったぼろぼろの病院に駆け込んだ。
そこにいたのは受付の看護師と、妙に奇妙なオーラを纏った医者のふたりだけであった。
信じてもらえるとは少しも思っていなかったが、念のため先ほどの黄色い花びらを掻き集めて袋に入れてきたのが功を奏したのか、何でもないことのようにカルテを渡され、診察室まで通された。
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