完璧なる計画書 ACのコックピットが完全に閉じ、ガレージの騒音と吹きすさぶ風の音がふつりと断ち切られる。シートの無機質な匂いと僅かな駆動音のみが狭い空間に満ちて、そこでようやく1人になったことを確認して溜息を付く。
気を重くしているのは先程会議で纏めたばかりの作戦の計画書だ。とある解放戦線拠点の武器や物資、あわよくば場所ごと奪おうという無法者の一団の鎮圧が目的のそれは、我ながら完璧に仕上がっていると思う。同行する人選、敵方の把握とそれに応じた弾薬や武器の調整、補給シェルパを飛ばした場合の経路、万が一の場合の救援が来るまでの時間、等々。状況が二転三転してもすぐに転向出来るように、最小限の被害で抑えられるようにと合理的に練られたそれには何ら問題はない。
2276