【六日目】【六日目】
「ふわぁ〜」
「随分と大きな欠伸だな。寝てないのか?」
トーストを受け取りながら、曖昧に頷く。
今日のメニューはチーズオムレツとベーコン、キュウリとトマトのサラダ。ポタージュスープは、粉末をお湯に注ぐタイプだ。
右目の私に遠慮して、自制を保てていたけれど、君からの牽制が逆に私を意識させた。
それで普通に国木田君の隣りで寝てなんていられなくなって、この有り様というわけだ。
───バケーションに、ワンナイトラブなんて付き物なんじゃない?
冗談半分に言った台詞が、自分を追い詰める事になろうとはね。
「元々、夜型だからって、昼間働いておきながら、夜寝ないというのは体が持たんぞ。でも、……」
国木田君の手が伸びて、私の蓬髪を長い指先が掻き上げた。
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