ドクターTETSUミニスカポリス部 求められれば取りあえず着る。TETSUもそれくらいには譲介にあれこれ許している。だが。
「よくこんなの用意してきたな……」
今回のオーダーはエナメル素材の青い帽子とジャケット、タイトミニ。胸には大きなワッペン。ジャケットの下は白いブラウス。アメリカンポリス風の、婦人警官の衣装だ。揃いの色のパンプスまで用意されている。
譲介はTETSUの前で仁王立ちして、腕を組んで頷いている。
「この……タイトなシルエットというか、グラマラス感というか、筋肉の詰まった感じが強調されるのがとても良いです」
「詰まってるどころかケツが裾からはみだしそうなんだよこのスカート」
それを聞いた譲介はTETSUの背後に回ろうとする。
「お前ェほんとそういうとこ!」
背後を取られないように譲介の動きを躱してTETSUは考える。これは異文化に影響されたってやつか? いや90年代日本の深夜番組だな? 当時こいつ生まれてたか? まあ取りあえず置いておこう。
「そもそも犯罪者に警察官の格好させんの、どうかと思うぜ?」
「悪徳警官ってとこですかね。ちなみにどんな悪事を?」
譲介は堂々と正面からTETSUの腰へ手を伸ばし、スカートごしに下から上へとなで回す。
「座席ベルト装着義務違反とかだ」
「ふふ、小っさ! ……ん?」
譲介は腰をなで回す手を止めた。
「あの、スカートぱつぱつの割に下着の線が出てないようなんですけど」
「それが?」
「下、どんなのはいてる……まさか、はいてない?」
「どうだろうな?」
譲介はスカートの裾を引き上げようとした。TETSUはすかさずジャケットの内側から手錠を出し、譲介の片手に掛けた。
「かかったな」
「なっ……!」
TETSUは譲介の表情を見て笑みをもらした。
「懐かしいだろ。サービスだ」
ついでにもう片方の手にも手錠を掛ける。
「さて、悪徳警官としては痴漢を現行犯逮捕したわけだが――」
TETSUは譲介を床に座らせると、膝をパンプスの先で小突いた。
「悪徳警官なので事と次第によっちゃ見逃してやる」
「これを外して貰えると」
譲介は両手首を揃えて振った。金属の鎖が音を立てる。
「そういうこった」
TETSUは譲介の前に立つと片足からパンプスを落として、むき出しの足を譲介の腿に置いた。
「ん」
TETSUは譲介を上から見下ろして、顎で促す。譲介はTETSUの顔を見上げた。続けて、自身を踏む足に、そこから延びる脛に、筋肉の張った腿に、青いタイトスカートに視線を移した。
譲介は小さく、はい、と応え、口を開けてTETSUの膝の内側へ舌を這わせた。