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    k_ikemori

    遙か7メインで過去作ポイポーイ。

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    過去作_遙か3/現代ED後景望

    ##遙か3

    求める心はいつも

     
    聞こえるのは時計の秒針が時を刻む音、ノートの上を走るペンの音、そして自分の溜息…
    「……はあ」
    望美は本日何回目になるか分からない深い溜息と共にノートに走らせていたペンを止めた。
    そして机の上に置いたままの携帯へと視線を落とした。
    先ほどから何度携帯を開いてみても代わり映えしない待ち受け画面で望美はまた溜息をひとつ零した。

    『今が大事な時期なんだからね?』

    そう、残酷な言葉で制した人物を思い浮かべ望美は知らぬ間に眉間に皺を寄せた。
    望美も今が受験前で大事な時期だと重々承知している。…解っているのだがそれでもその言葉を聞いたときの落胆は隠すことが出来なかった。
    「…今日ぐらいいいじゃない。景時さんのいじわる」
    望美は携帯を閉じて不貞腐れたように頬を膨らませ、ペンを置くと机に突っ伏した。

    世の中はクリスマス一色に彩られ受験生の望美もささやかながら何かしたいと思っていた所で景時に釘を刺されたのだ。
    恋人が居ないならまだしも、何が悲しくてクリスマスに一人部屋で淋しく受験勉強をしなければいけないのか。不意に目の奥がツンと痛み視界が滲みそうになって慌てて首を振って紛らわせた。
    ふと窓の向こうに視線を移せば闇が深まってきていて日暮れ時の淋しさが一層望美の心を震わせた。
    「……駄目だ、集中できないや」
    零すように呟き、立ち上がり上着を持って部屋を出た。
    そのままリビングに居る両親に「ちょっとコンビニまで行ってくるね」と告げると望美は家を後にした。
    暗くなり始め人通りが少なくなってきた道を一人歩きながら思い出すのはここに居ない景時の事だ。

    ――今何をしているのだろうか
    ――今日はどうやって過ごしたのだろうか
    ――今何を想っているのだろうか

    止め処なく溢れてくる想いに望美は本日何度目になるか分からない溜息を零した。

    「そんなに溜息ついちゃうと幸せが逃げて行っちゃうよ?」

    不意に後ろでよく響く落ち着いた声がその場に響き、望美は足を止めて下に向けていた視線を上げた。幻聴でも聞こえてしまったのではないかと、思いながら振り返ることは出来なかった。もしもこれが本当に幻聴ならば落胆してしまうのは火を見るより明らかだ。
    「……げ、とき…さ」
    「うん?…それよりも、こんな時間に外出するのは関心しないな~?」
    つい零してしまった名前に答えるように続いた言葉に弾かれたように身体を捻る。
    闇に染まり始めた空と辺りを白く照らす街灯に浮かび上がる均整の取れた長身が微笑みながら望美を見ていた。
    「…ど、……して」
    驚きに目を見開き、目の前でゆっくりと近寄ってくる景時から目を離さず零すと、景時は眉根を寄せて微笑んだ。
    「う~ん…」
    困ったように笑って頭を掻くその仕草に望美は改めて景時の格好をまじまじと見てつい口から零してしまう。
    「…景時さん。その格好」
    闇色に染まる空に似た色のダークグレーのスーツと景時が仕事の時に持ち歩いている鞄が景時が仕事帰りだと告げていたが、24日のイブは日曜日で会社自体は休みの筈だ。
    「どうして…」
    先ほどと同じ問い。けれど意味合いは違ったもので。
    「あ、これ?あはは~。じ…実はね、望美ちゃんにああ言った手前一人でボーっとするのもなーとか思ってたら急にやらなきゃいけない仕事が入っちゃって…休日出勤しちゃった」
    照れたように視線を彷徨わせる景時から目を離せず、望美は未だ唖然とした表情で景時を見遣る。その視線に耐えかねたのか景時が足元に視線を落とす。
    「そ、それでね…仕事終わって帰ってたらさ。なんか、望美ちゃんに逢いたくなっちゃって…」
    語尾が掠れるような響きで紡がれた言葉に望美の心が震えた。
    「…私も」
    ポツリと零した言葉を逃さずに景時はまた一歩望美へと近づいた。
    「私も、逢いたかったです。ずっと景時さんのことばかり考えてて、勉強できなくて…」
    「…うん」
    溢れる思いが止め処なく零れ出る。景時はそれを大事に、掬うように受け止める。
    「逢いたいって思ってた所に景時さんが来てくれて…。声掛けてくれたときは幻聴じゃないかって思って…振り返ってもし景時さんが居なかったらと思うと…」
    怖くて、と震える声は景時の広い胸に吸い込まれた。
    僅かに震える望美の細い肩に手を置き景時は壊れ物を扱うように望美の身体を柔かく抱きしめた。


    「ほら…幻じゃないでしょ?オレはちゃんとここにいるよ。…ごめんね、余計淋しい思いをさせちゃったね」


    耳元で優しく囁く声に目の奥に甘い痺れが走る。
    望美は頭を景時の胸に押し付けたまま僅かに横に振る。
    「もう…いいです。逢えたんですから……だからもう、いいんです」
    そう言って僅かに身を起こすと景時を見上げた。
    そこには景時が僅かに眉を下げ少し申し訳なさそうに微笑んでいた。


    「…うん、ありがとう」
    景時は望美の頬を包み、スルリと大事なガラス細工を扱うように撫で、望美もその大きくて何でも掬い上げてくれる優しい掌に甘えるように頬を摺り寄せた。
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    k_ikemori

    DONE天文台で毎夜星を眺めてる長政さん超エモいなと思って荒ぶったけど自分で書くとそうでもないなと冷静になった…この冬の時期に七緒が出勤して初めに行うことは、分厚い上着を掴み取る事から始まる。
    裏口から入るのでそこからは望遠鏡が置いている部屋と、望遠鏡の前に陣取る人影がきっといるのだろうが、生憎とここからは見えない。
    小部屋にはそれほど大きくはない机と仮眠が出来るようベッドが置いてあり、部屋の隅にミニキッチンが付いている。凍えそうな夜はそこでコーヒーかホットココアを入れて寒空の下、それを飲みながら観測する事が至福のひと時である。
    小部屋に入って、壁に掛けてある上着が自分の物とは別にもう一つ残っていることに気付いて七緒はキュッと柳眉を寄せた。
    「…もう」
    手早く自分の上着を着込み、もう一つの上着を腕に抱くと七緒は小部屋を後にした。
    ある程度厚着をしているだろうが、分厚い防寒着があると無しでは雲泥の差だと七緒は思っている。
    小部屋のドアを閉めるとシンと静まりかえったこの場所によく響く。
    七緒が出勤した際にドアを開け閉めした音に気付かぬ人ではないのだが、放っておくと明るくなるまで望遠鏡の下から動かないような人だということを思い出す。
    ゆっくりと望遠鏡の下まで辿り着き、七緒が傍まで来たのに微動だにしない 3117

    k_ikemori

    MOURNING2015年に書き始めて放置してた景望ログを見つけました。タイトルは「まつり」ってあるのでたぶんこれから一緒にお祭りに行きましょうという話にしたかったハズ…。お祭りすら始まっていなかった…。供養供養。書簡を届けに行く道すがら、景時は馬の背から空を仰ぎ見る。
    澄んだ青空に幾つか雲が浮かび、夏らしい強い日差しが地上を照らし付ける。
    「いい天気だなぁ…」
    そう呟き、景時は暫くぶりにある休みを早々に奪取する為、馬の腹を軽く蹴って駆け出した。

    「朔ー? 朔ぅ?」
    彼女たちに宛がわれている部屋へ赴き、ひょいと覗き込む。
    連日動き回っている神子はいないだろうとあたりを付けてはきたが、妹である朔の姿がそこに無く、景時ははてと首を傾げた。
    「どこ行っちゃったのかなぁ…」
    けれど、館の外には出て行ってないようで先程まで裁縫でもしていたのか、しっかり者の妹にしては珍しく片付けもせずそのまま放置されていた。
    その時パタパタと軽やかな足音と共に咎める声が掛かる。
    「兄上! 女人の部屋を勝手に覗くなど、恥ずかしい事なさらないで下さいまし」
    「ああっ、ごめんごめん。朔いるかなぁって思ったし、戸も開いていたし…」
    妹の厳しい物言いに景時は肩を落とす。
    「もし着替えている途中だったらどうするのです」
    「いや、もう陽も高いしそれもないかなぁ…って」
    「例え話です」
    「ア、…ハイ。すみません」
    朔は大きく溜息を零すと 6990

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