拝啓、冬のような貴方へ「……あ……」
目が覚めて視界に飛び込んだのは、白い天井だった。寝惚けた頭でそれが自分の部屋のものだと気付いたとき、ピピ、とスマートフォンのアラームがけたたましく鳴り響いた。
指先でうるさい音を消して、目を擦る。目元は涙でしとどに濡れていた。
夢を見ていた。
もう二度とは会えないヒトと会う夢だった。
不思議な感覚だった。夢の中で私は、自分が夢を見ているのを分かっていた。
分かっていたから、ずっと言えなかった想いを告げた。夢だから良いだろうと、そして夢の中でも彼はどんな反応をするのだろうと、そんな考えがあったから、告白の言葉が口をついて出た。
だってあれはまるで、夢でありながら夢ではないように、リアルだったから。
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