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    slekiss

    @slekiss

    QMA・YGO(GX未履修)・悠久・格ゲー(主にSNK系、初期のBB)・刀剣等。
    今描ける環境ほぼないので基本文字書きのひと。
    過去絵(主に描きかけて飽きたやつ)や駄文をぽいぽいと。

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    slekiss

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    カラーズラグラグの特殊設定もの。根底以外はオリジナルっぽく読んで貰ってもいいかもしれない。
    企画も頓挫したし、出す場所もないので供養を兼ねて。
    小指の先ぐらいハロウィンに引っ掛けてる。

    #カラーズ
    colors
    #BLAZBLUE

    ヴァンパイアのおやつ  それは喩えるならば、甘くとろける極上の菓子。


      【ヴァンパイアのおやつ】


    「Trick or Treat!」

     突然扉が開いたかと思ったら、そんな言葉とともに何者かが部屋へ飛び込んできた。
     既にベッドへ潜り込んでいたアスが、その声に驚いて飛び起きようとして。


     両腕が、枕ごと縫い留められていることに気付いた。


    「…え?」

     普段は眠たげに伏せられた瞳が、置かれた状況を把握できずにぱちくりとしばたたかれる。
     顔に落ちる影を仰げば、そこには見慣れた顔があった。
    「…ヴァイス…?」
     呼ばれて笑みを零すのは、アスとレイズの養い親。
     悪戯っぽく弧を描いた瞳で、組み敷いた形になったアスを見下ろしている。

    「ほら、アス。どっちにすんだ?」
    「え?」
     ヴァイスの言葉の意味を掴み損ねたアスが呆けた声を出すと、ヴァイスは何故か、心得顔とばかりに笑ってみせた。

    「さっきも言ったろ。Trick or Treat!って」
     そう言われて、寒色系のオッドアイが暫し彷徨う。
    「…とりっく、おあ、とりーと…」
    「そ。ハロウィンのお約束。菓子か、悪戯か、ってな」
     判るだろ、と訊かれ、アスがちいさく肯く。
     幼い頃にはレイズや近所の子どもたちと一緒に、大人から菓子を貰ったことがあったし、大きくなってからはヴァイスから菓子をもらっているから、その『お約束』の意味は理解していた。
     だが、今までヴァイスがアスにこんなことを言ったことがなかったため、いささか混乱しているのだ。

    「ほら、どっちだ」
     早く決めろよ。
     再度、せっつくように問われて、アスは困ったように眉根を寄せた。
     悪戯はされたくないが、かといってヴァイスに渡せるような菓子など持っているはずもなく。
     むしろそんなものがあるのなら、とっくの昔にアス自身が食べているだろう。
    「…ぁ…」
     小さなジレンマに捕われた瞳が、所在無げに揺れる。

    「菓子は…なしか」
     呟きとともに、ぎし、とベッドが軋む。
     ヴァイスが少しずつ、身体の重みを預けてきているのが、捉えられた腕越しに感じられた。
    「じゃあ…【Trick】でいいよな?」
     言葉と同時に、対照色のオッドアイを細めた顔が近づいてきて、アスの首筋に寄せられた。
    「…ヴァイス…?…っあ!?」
     その表情にいつもと違う雰囲気を感じて、不安げに彼の名を呼んだアスの身体がびくりと跳ねる。
     首筋から伝わる、鋭い痛み。
     それはちょうど、鋭い針のようなものを突き立てられた感覚に似ていて。
    「…ぃた…ぁ…」
     次いで、身体から何かが抜けていく感覚。
    「…ヴァ、イ…ス…、な、に…して…?」
     様子を伺おうと視線を巡らすも、見えるのは頬をくすぐる象牙色の髪ばかり。
    「ヴァイ、ス…どいて…おねが…」
     見えない場所で行われている、得体の知れない行為と、冷えていく指先にかすかな恐怖を覚えて、アスが身を捩る。
     刹那、ぐらりと視界が揺れ、身体から力が抜けた。
    「…え、あ…?」
     それと同時に、急速に遠のく意識。 
     ぱたり、と、持ち上げかけた手がベッドに沈む。
     何が起きたのか理解できないまま気を失ったアスから、漸くヴァイスが身を起こした。

     その唇は──朱に染まっていた。
     ほかならぬアスの血によって。

    「…ちょっと…やり過ぎちまったみてえだな」
     自嘲気味に笑って、ヴァイスは血濡れの唇を舐めた。
     そうしてから、血の気を失くして蒼白になった頬を、さらりと撫でる。
     そのまま首筋まで指を滑らせると、先程まで己が牙を突き立てていた場所にそっと触れた。

     そこは既に塞がりかけていて、もう傷跡は殆んど目立たなかった。
     殆んどを失ったとはいえ、アスの体内に眠る『モノ』の持つ驚異的な治癒能力は、いまだ健在であるようだ。

    「お前のが、あまりにも美味かったから…つい、な」
     すまなかった、と耳元でささやいて、詫びとでもいうように触れるだけの口付けを落とす。
     そう、アスの血は本当に美味かったのだ。
     喩えるならば、とろけるほどに甘い、極上の菓子。
    「ま…『あいつ』には及ばねえけど?」
     ふと、脳裏に闇色の衣が翻る。
     この世界で唯一、自分を満たすことのできる『血』を宿した、稀有な存在。
     それを生み出したのは、目の前に居る無垢な蒼。
    「流石『兄弟』…ってところか」
     口の中でそう呟いて、ヴァイスは再び笑った。
     アスのやわらかい蜂蜜色の髪を撫でてから、部屋を出る。
     後ろ手に扉を閉めてから、ヴァイスははたと思った。


      「これじゃ【Trick】じゃなくて【Treat】じゃね?」
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    slekiss

    DONEるーさんに髪を切って貰うシオンさんの話。
    時系列的にはメインシナリオの途中(2~3の間)ぐらいを想定。ノイマンとシオンの関係性に大いなる捏造アリ。

    2主:シオン・N・エルフィールド。暮らしていた孤児院を戦禍で失い、共に暮らしていた仲間と死別後、流れ流れてエンフィールドへ。その後自警団第三部隊隊長のノイマンに拾われ、育てられる。淡い亜麻色の髪、薄い鳶色の瞳。

    以上を踏まえていれば読めると思われ。
    冬隣に参る 淡い亜麻色の髪を滑る淀みない鋏の音と、切られた髪が床に落ちる音。
     きこえるのは、そのふたつだけ。
     あまりの静けさに、思わずふわあと欠伸が洩れた。その拍子に淡い亜麻色の頭髪が後ろに傾く。
    「っ、急に動くな。まあ、ふた目と見られん頭になりたいなら話は別だが」
    「う……ごめん」
     頭上から放たれた、些か棘のある声に慌てて背筋を伸ばす。鋏の先をとらえたままの海色の双眸に非難を滲ませつつ、仕損じがないことを確認してから、金の髪をもつ青年は再度亜麻色の髪に鋏を入れた。 
     室内が再び、鋏と髪の落ちる音に支配される。
    「それにしても…」
     鋏を器用に動かしながら、金髪の青年──ルー・シモンズが静かに問うた。
    「何故、俺なんだ?床屋なら街にいくらでもあるだろう」
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