Time flies by黒いローブを纏い、埃臭い地下室の中で立つ若い男。いっそティーンエイジャーにすら見える童顔だが、その年弱な容姿に似合わぬ妙な貫禄を背負っている。
彼の前には奇妙な円形の紋様が描かれ、怪しげに光っていた。その様子に若い男──イギリスは満足そうな笑みを浮かべた。
「──さあ闇の淵よりいでよ!」
年季の入った魔術書を片手に、イギリスは呪文を唱える。すると魔法陣の光は一気に強さを増した。魔法陣が正常に作動したことを確信したイギリスは、より一層笑みを深める。
イギリスは隣国の男を困らせたかった。
いつもいつも、1000年前から何かと絡んできて、余裕綽々の笑みを浮かべたあの男。その「お兄さん面」を今日という今日こそ引っぺがしてやろうと思った。
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