廢物貓

@Winnie1117717
18+

☆こっそりフォロー
ポイポイ 9

廢物貓

☆こっそりフォロー

🐺
#ジャミカリ

タップで全画面(原寸:1197x1584)無断転載禁止
💵☺
リアクションを送って応援しよう!
#ジャミカリ

murimuri11111

かきかけジャミカリ
「浅ましさをくれ02」途中
02


茫然と途方にくれたオレはジャミルのことを抱きかかえ、心臓の音を確かめた。生きていることに安堵し、子供の姿に変わったことで、外傷も消えていたので、とりあえず死ぬことはなさそうだ。
アジーム家に連絡……――いや、それより先生たちの意見を仰いだ方がいい。学園内で起こったことだ。学園長の意見を尊重した方が良いだろう。セキュリティの面から見てもアジーム家に直接、連絡を入れると、まずアジーム家は学校の責任問題を追及するか、今すぐ、オレを実家に戻せと命じてくるかも知れない。
そんなことはごめんだ。
こんな、状態のジャミルを置いて一人だけ熱砂の国へ戻るわけにはいかない。ジャミルはオレを庇って、子供になってしまったというのに、きっとアジーム家は容赦なく、ジャミルのことを切り捨て、オレの安全の確保に走ろうとするだろう。それが、従者であるジャミルと次期当主であるオレの明確な扱いの差だ。

「アルアジーム!」
肩を叩かれ、反射的にマジカルペンを向ける。また刺客が襲い掛かってきたのかと思ったんだ。こんな状態のジャミルをまず護らなくてはならないと、攻撃魔法を唱えようとしたが、振り返った先にいたのがクルーウェル先生だったので、思わず肩の力が抜けた。
ずるり、とマジカルペンが床に転がり落ちる。
良かった、誰かが戦闘中の音に気付いて先生を呼んできてくれたのだと、クルーウェル先生の後ろで心配そうにオレ達を見つめる寮生たちをみて、頭を下げた。

「寮長、大丈夫ですか!?」
「歯を磨いてたら爆発音が聞こえて」
「慣れない魔法の流れを感じました」

そう言って、全員がオレの方へと近づいてきて心配だったと声をかけてくれた。
ジャミルの教育のたわものだな。オレが入学した当初から、大きな物音、爆発音などがあれば、様子を見に来るんじゃなく、まず実力が高い人間(先生とか)を呼んでくるようジャミルは散々、言っていてくれたから。

「オレは大丈夫だ……けど、ジャミルが」

皆の顔色が悪くなった。誰かが、まさか――と最悪の事態を想定して呟いたが、オレは首を静かに振り、腕の中で抱きかかえていた子供の顔を見えるように皆へと向けた。すると、オレが腕の中で抱きかかえていた幼いジャミルの存在に気付いたのだろう。戸惑いながらも「え、これって副寮長?」「ジャミルさんが」「小さくなってる?」と言ってきた。そうなんだよ、小さく……なっちまった。

「アルアジーム、バイパーを良く見せてみろ」

寮生たちを押しのけ、クルーウェル先生が近づいてくる。オレはそっと、ジャミルをクルーウェル先生へと差し出した。錬金術を代表にあらゆる学問で優秀な実績を残しているクルーウェル先生ならジャミルが負った魔法の正体が分かるかも知れないと思ったからだ。

「床に静かに寝かせろ」
「あ、ああ!」

ジャミルに振動を与えないようにゆっくりと床にジャミルを寝かした。一見、幼い子供が無防備に寝ているだけの姿に見える。なんだったら、眉間の皺がなくなった分、普段、オレが見ている寝顔よりも心地よさそうだ。
クルーウェル先生はオレと同じようにゆっくりとジャミルの呼吸を確認して、脈を図った。そして、なぜか匂いを掻きだし、なにか分かったのか、マジカルペンを使いジャミルの周りに魔法陣を描いていく。この魔法陣は、確か……なんだったっけ。けど、見覚えのある柄だ。習ったことはある筈なんだよ。

「分析の魔法陣だ」
「ああ、二次魔法要素を分析する気なのか」
「けど、俺達が作る魔法陣より緻密に魔力が練り込まれている」

寮生たちが感心したように、クルーウェル先生が描く魔法陣を見て、そう述べた。コイツら、よく覚えてるよな。さすが、スカラビアの寮生たちだ、オレも鼻が高いな!! って気持ちになったのと同時に、みんながスラスラと答えを出した魔法陣が分からない自分のことが、少し恥ずかしくもあった。

「ニヒル・サリーサ」

そう呪文を唱えると魔法陣が光り輝く。ジャミルの身体に魔法陣の線が伸びる。光り輝く線は指先を伝い、心臓へと延びていった。クルーウェル先生はなにか分かったのだろう。静かに首肯して、オレの名前を呼んだ。

「アルアジーム、バイパーが襲撃を受けたのは鏡からの光か」
「え、あ、ああ、そうだ! 刺客が倒れて安心してたらいきなり割れた鏡が襲い掛かってきたんだ」
「なるほどな。バイパーが受けた魔法の正体は、おおよそ検討がついた」
「本当か!?」

嬉しくなって思わずクルーウェル先生の方へ近づこうとしたが、手のひらを向けられ待てのポーズをされてしまい思わず身体がピタリと止まった。

「喜ぶのはまだ早い。魔法の正体が分かったからと言って、簡単に解けるものではない。これは呪いの類に近い物だ」
「呪い? もしかして」
「安心しろ。命を奪うものではないことだけは俺が保証してやる。だが、バイパーが元に戻るかどうか……これは本当にお前次第かも知れない。アルアジーム」


そう言ってクルーウェル先生はオレに教鞭を向けた。
オレ次第って一体、どういうことなんだ。ジャミルにかけられたこの魔法を解くにはオレは一体なにをすればいいんだ。

「教えて欲しい。オレは、ジャミルの為だったらなんだって出来る」

そう答えた。本来ならこの魔法を受けるのはオレの筈だった。昔と一緒だ。ジャミルが毒味で倒れたときと。あの毒もこの呪いのような魔法も、オレを狙い放たれたものだ。オレを害するはずだったものなのに。同じように、ジャミルが苦しんでいる。そのことが、許せなかったし、遣る瀬無かった。勿論、ジャミルが護ってくれた身体を無碍に扱うつもりなんてない。それこそが、ジャミルに対しての裏切り行為だからだ。けど、本当に、オレはジャミルが元に戻ってくれるなら、自分が出来る限りのことはなんだってするつもりだ。それこそ、ありとあらゆる、権力を酷使しても良かった。
睨むように決意の証としてクルーウェル先生を見つめるが、彼ははぁ、とため息を吐きだした。ええ? 呆れられるようなことを言ったか!? と戸惑うオレを見て、先生は眉を顰め、先ほどまで教鞭を向けていた手を引っ込め、変わりにオレの頭を大きな大人の手が撫でた。

「なんでも、なんて簡単に呟くな。お前は本当になんでもやってしまいそうだから怖いな。まぁ意気込みだけは買ってやる」
「クルーウェル先生」
「なに、お前がしなければいけないのは、本来それほど難しいことではない。ただ、学生の身でありながらこれを実行していくのは、お前自身とも向き合うことになるだろうし、その過程で、傷つくこともあるだろう」
「オレ、本当にジャミルの為だったらなんだって出来るぜ! ただ、自分を傷つけたり代償にしたりすることはダメだ。それは出来ない。けれど、もし、その傷っていうのが、自分の心を傷つけるものだっていうなら……――オレは迷わない」

なんとなくだが、クルーウェル先生の言い方から、そういうことなのかな? と思った。仮にも教師が、オレ自身の身体を傷つける行為のことを、本来それほど難しいことではない――と言い切らないだろう。2934 文字