二度目はない。まだ、 THE虎牙道がロケで訪れたのは、廃村と呼んでも差し支えのない寂れた村だった。土地の豊かさと住民の穏和さに関係があるという通説などはないが、この村の広大な自然が人柄に影響を与えているのだと言われたら誰もが納得するだろう。それほどに村の住民は優しくて、献身的で、おおらかだった。
村の住民は三人がからだを張った企画を挑んでいるときもそれを応援し、休憩の合間には差し入れまでくれた。
焚き火で焼いたというさつまいもを食べながら、三人は笑う。タケルも、道流も、漣も、この村を──この村の住民をいたく気に入った。そんな三人に、村人は収録が終わった後に集会所にくるように誘う。
「村の名物のね、鍋を振る舞いますから」
1920