狂犬侮るべからず。狂犬侮るべからず。
侮っていた。その言葉が1番しっくりくる。
恋心を騒がしくも何度も繰り返され、はじめこそどうしてやるべきかと思い悩んだ事もあった。男色が少なからず居る事も知っているし、〝例の香水〟の一件で自らの身に降りかかりそうになったゾッとしてしまう出来事もあり、沖田の言葉をどう処理するべきか悩んだ。しかし、狂犬と呼ばれる男が、まるで忠犬のように自分に尻尾を振り懐く…というには少しばかり触れ方が際どい時が在るが、そんなに悪い気はしなかった。と、言うより、少しだけ、心地よかった。あの一件のように、ぞわぞわとした悪寒が走らないあたり、もしかして自分は、だなんて思うようにもなってしまっていた。
しかし前に
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