甘い鎖生まれて初めて恋をした。
(か、かっこいい……)
死兆星号から少し離れた所の浜辺。
船を訪ねてみると彼がいなかったもので、ならおそらくこの辺りだろうと駆け足で来た。頻繁に遊びに来ているせいか彼の行動範囲が何となく分かってきて勝手にひとり鼻を高くする。
お目当ての少年は既に見つけていて、木の後ろからこそりと眺める。どうやら鍛錬中らしく真剣な表情で刀を振っていた。
永遠の国・稲妻から来たという彼の名は、楓原万葉。
きめ細かく真っ白な肌は雪のよう。その中で輝く緋色の瞳は、コントラストも相まって目を合わせると一瞬射抜かれたかのような錯覚に陥ってしまう。
優美だが凛とした強さも感じられる……そんな少年に、私は恋心を抱いている。
11101