酔いどれ猫又 家に帰ると、俺の部屋で猫又が飲んだくれていた。
「お帰りなさい少年~」
「……なにやってんだ、お前」
「見ての通り月見酒ですよ~。昨年の出雲のお祭りで~、何本かもらってきて~、ちょっとずつ飲んでたんです~。これが最後の一本~」
「前にも思ったけど……あれは神様の集まりだろ。なんで妖怪が行ってんだよ?」
「あれね~、実を言うと~、人間以外は簡単に参加できるんですよ~」
そんなことより少年も一杯どうですか~、なんてムニャムニャ言いながら、猫又は狸が持っていそうな丸い徳利に巻きついてそのまま寝入ってしまった。
「……俺はまだ十七だっつーの。酒なんか飲めるかよ」
まったく、未成年の部屋を酒臭くしやがって! 換気、換気!
お題【酔う】
(三〇〇字)