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    sbms小説
    ゆかいでたのしい職場は上司のお茶目さから作られる。

    ポイピクの小説機能を試したく、プライベッターに公開したものを転載しました。

    上司を必要以上におっかながる新人が考えを改めるおはなしサブウェイマスター
    地下鉄の王
    地底の怪人
    ギアステーションの双子の幽霊

    そんな派手な名を冠した彼らは
    現在、事務所にて黙々と書類にペンを走らせている…


    バトルサブウェイはポケモンバトルの聖地のひとつであると同時に公共交通機関である。
    職員は一日中戦いに明け暮れているわけではなく、客の対応やホームの監視、巡回や事務処理など幅広い業務をこなす必要がある。
    それらはこの施設のボスと呼ばれる存在の彼らもやらねばならない仕事であるが、戦闘狂とも噂されている彼らを事務所に詰め込み戦いとは無関係の作業を行わせているとなると…彼らはさぞやゴキゲン斜め、それどころか殺気立ってるのではないだろうか?

    新人の鉄道員は彼らに追加の書類を届けるよう先輩に命じられたが、不穏な想像を拭えずにいた。

    おっかなびっくりしながらも事務所のドアをノックすれば、どうぞと思ったより穏やかな声が返ってきた。
    ドアの向こうでは同じ体を持つ黒い制服の男と白い制服の男が横並びで机につき、黙々と書類にペンを走らせている…

    「ご苦労様です、追加ですね」
    黒い制服を着た男、ノボリはこちらに目線を向けるがすぐに書面に戻ってしまう。
    以前より彼の真面目で丁寧なさまは格好良いと思えど、どうしても親しみを感じにくく苦手意識をもってしまっていた。
    新人はわずかに戸惑い動けずにいると

    「こっちにちょうだい、ぼくの方はもう終わってるから」
    白い制服を着た男、クダリはこちらに笑顔を向ける。
    双子である彼らでも表情ひとつでここまで印象が違うのは不思議なことだ…
    内心、人当たりがよさそうな方に呼ばれたことに安堵し書類を手渡す。

    ふと違和感を覚える、すでに終わってると言ったのに何故彼はペンを握っているのか?

    クダリの手元の紙に目をやれば、パスタらしきイラストが描かれていた…
    よくよく見ればほかの紙にも様々な食べ物のイラストが…

    野菜らしきものを挟んだサンドイッチ。
    すこしデフォルメをした靴のようなパン。
    ただの円のように見えるが、おそらく真上から見たスープ。
    とぐろを巻いたクリームをのせたカップケーキ
    …なぜクリーム部分を黒く塗ったのか。

    「…なにやってんですか?」
    「ん?お絵描き」

    途端にクダリに得体の知れなさを感じてしまう。
    いい歳した男が、社会的地位のある存在が、暇を持て余し黙々とお絵描きをしていたのだ。
    もっとも世の中には絵描きを趣味にする人間は多くいるが、新人が彼に抱いていたイメージとは結び付いていなかった。

    困惑をしていると表情の読めない顔のままのノボリが静かに手を伸ばしてくる…
    一瞬ぎくりとするがその手はクダリの描いた作品をすべてもっていく。

    黒衣の男は「召し上がれ」とそれらをシュレッダーにかけ始めた。
    白衣の男は少し惜しそうに、だけど楽しそうに食べ物の飲み込んでいくシュレッダーを見ていた。
    よく観察すれば黒い方も楽しげであった…



    「先輩、あの人たちかなり変な人たちですね…
     シュレッダーに食べ物の絵を食べさせて遊んでました…」

    「でも、むやみにおっかながる必要がないのは分かっただろう?」

    「そうですね…」
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