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    牧仙相手左右固定
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    デキてない牧仙が酒の勢いでヤってしまう話

    #牧仙
    shepherdFairy

    起きたらとんでもないことになってた
     
     
     
     
     

    「うそだろ……?」

     牧紳一は、ホテルのベッドの上に座り込み、引きつった笑みを浮かべながら呟いた。
     
     状況はこれ以上ないほど混迷を極めている。ベッドの下に脱ぎ散らかされた衣服。下着一つ履いていない素っ裸な体。二日酔いで痛みはするもの昨夜の記憶を鮮明に覚えている頭。出すもの出してスッキリした感覚の下半身。そして、白いシーツの海で未だに眠り続けている、自分と同じ一糸纏わぬ姿の───仙道彰。

     どうしてこうなった。

     いや覚えている、残念なことにバッチリ覚えているのだ。今はこの優秀な頭脳が恨めしい。
     ありえない状況に現実逃避しかけた牧は、恐る恐る昨晩の出来事を思い返す。

     そう、確か昨夜は違う大学に進学した仙道と近隣大学バスケット部が集まる懇親会で遭遇して、こんな機会は滅多に無いと懐かしさから二人で呑み明かしてしまったのだ。
     初めからマイペースで呑んでいた仙道が、酒が進むにつれて浮かべた柔らかい笑み。試合中に見る不敵な笑顔とはまた違うそれに魅入られて、もっと見たいがために酒を勧めて、自分も彼も浴びるように呑んで、それから────。
     懇親会解散後、近くにあったホテルになぜか二人でしけこんで、一晩中ヤりまくっていた、という訳だ。お互いしこたま呑んだというのに、よくまあここまで盛り上がったものだ。

     牧の明晰な頭脳は、仙道との交わりも全て覚えていた。
     少し触れただけで震える敏感な肢体。普段の自信に満ち溢れた声とはまるで違う、頼りなさげな嬌声。むしゃぶりつくといやらしく勃ち上がる乳首。牧に愛撫されて浮かべる恍惚とした表情。絶頂を迎えた後の蕩けた眼差し。

     今現在までの経緯と仙道のあられもない媚態を思い出し、牧は顔を赤らめながら頭を抱えた。
     これは、この状況はまずい。高校時代から目をかけていたとはいえ、他大学のスーパーエースを、酔った勢いで抱いてしまうなんて。一回どころか一晩中ヤりまくってしまうなんて。
     何より一番まずいのは、仙道とのセックスが、とんでもなく気持ち良かった、という事実である。
     いつだって自分のペースを崩さない涼やかな瞳が、快楽に潤む瞬間。明らかに慣れていないと分かる初心な体が、牧の指に翻弄される瞬間。強すぎる快感に逃げを打つ腰を捕まえて最奥まで貫く瞬間。熱くきつく誘いこむように牧の性器を締め付ける胎内。汗と涙と体液でぐちゃぐちゃに濡れた顔。すがりつくように伸ばされた手。掠れた声で呼ばれる己の名前。

     何もかもが、気持ちよかった。

     チームメイトから絶対の信頼を置かれどんなピンチでも常に冷静な男が、理性を手放し淫らに快楽をねだる姿なんて、誰が想像できるだろう。まずい、思い出したらまた勃って来た。
     牧は下半身の熱を鎮めようと、必死で出されたばかりの大学のレポートについて考える。しかし、考えないようにすればするほど、頭から離れないのが人間である。牧の脳内は仙道の媚態ですぐいっぱいになってしまった。

     どうすればいいんだこれ。

     すっかり元気になってしまった下半身を見下ろし、牧が途方に暮れていると、隣で眠っていた仙道が身動ぎと共に目を覚ました。

    「……仙道……?」
    「……おはよーございます……?」

     慎重に問いかけてみれば、普段と変わらぬ呑気な声が返って来る。同時に驚いたような視線で下半身を凝視されてしまい、牧はシーツでそれを隠した。

    「体が、痛え……」

     仙道がゆっくり体を起こし、惨憺たる有様のシーツや室内を見回しながら呟く。裸のまま乱れた髪をかき上げて「あちゃー……」と苦笑する姿が妙に様になっていて、牧は状況も忘れ一瞬見惚れてしまった。
     
     何でこんなに落ち着いてるんだこいつ。もしかしてこういう事態に慣れているのか。でもヤってる時の反応は明らかに未経験っぽかったんだよな。

     とにかく、現状把握だ。
     牧は努めて冷静な風を装い、隣に座る男に質問をぶつけた。

    「お前、昨夜のこと覚えてるんだな……?」
    「そこまで酒に弱くないっすね」
     
     ほんとかよ。じゃあ何でオレと寝たんだ。酒の勢いじゃなかったら何なんだ。何でオレと寝たことを簡単に受け入れているんだ。何でオレだけこんなに動揺しているんだ。
     ───何でオレばっかり、こいつのことを考えているんだ。
     
     新たなる疑問と不可解な苛立ちが湧いてくるが、問い詰めたい衝動を堪えて牧は続ける。

    「お前は、良かったのか?」

     オレと寝てしまって、オレに抱かれてしまって良かったのか、という意味で問いかけたのだが、仙道は何を当たり前のことを聞いてくるのか、という表情で言った。

    「? 気持ち良かったですけど?」
     
     そっちじゃねえ。そっちじゃねえが……気持ちよかったのか、そうか……。なんだこの可愛いの……。まずい、顔がニヤけるのが止められない。
     
     牧が緩んだ口元を手で隠していると、意図を取り違えたと気がついた仙道が頬を染めて弁明してくる。

    「……! ちが、それはそういう意味じゃなくて!」
    「じゃあどういう意味だ? オレとのセックスが気持ち良かった以外の意味があるのか?」

     笑った顔をもう隠しもせず尋ねると、仙道は耳まで赤くしながら言葉に詰まっている。どうやら上手い言い訳が見つからないらしい。
     こいつ、こんなに可愛かったのか。
     
     試合中に見る怖いもの知らずな顔とはまるで違う、くるくる変わる表情から目が離せない。もっともっと、こいつの知らない顔が見てみたい。こいつが隠し持っている、心の柔らかい部分まですべてを手に入れたい。
     牧はひとしきり笑うと、悔しげに口を尖らせる仙道の肩を抱き寄せた。
     自分は一度寝たくらいで情が移るような安い男ではない。ではないのだが、この男が見せる可愛らしい一面と普段の泰然とした態度とのギャップに、どうしようもなく惹かれている自分がいる。

    「オレたち、体の相性も良いみてえだし、本気で付き合ってみないか」

     牧の口調こそは軽いが真剣な提案に、仙道は少しだけ目を丸くする。しかし、すぐに挑戦的な笑みを浮かべて楽しげに告げて来た。

    「……とりあえず、素面でもう一回ヤった後で考えさせて下さい」

     
     
     
     その後、二人がめでたく恋人同士になれたかは、推して知るべしである。
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