自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる。 side.RIO
高らかにラッパの音が鳴る。朝六時、起床の合図だ。隊舎のベッドから起き上がり、準備を整える。食堂で朝食をとり、朝礼の前に間訓練を行う。
いつものルーティーンワークである。身体は当たり前の様に動く。しかし、何となく頭にモヤがかかっている様な気がする。寝不足だろうか、疲れが出たか、そんなはずは無い。ここ最近、大きなトラブルは無かった。いつも通りの課業を行い、訓練を行い、二十三時には就寝。昨日も同じ時間に床へ就いた。寸分の狂いは無い。軍人として、自らを律する事は当然の事だ。
……軍人?常に心に掲げていたはずのその二文字にふと、疑問を呈する。
「おはよう、メイソン」
ぼんやりしていた頭が、声によって引き戻される。同僚の頸木だ。
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