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    しわす

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    学パロ同僚水
    素敵なスペースをお聞きして、アオハル同僚水に悶えた結果です
    放課後二人きりの教室でのお話

    また水木が可愛くなっちゃった

    君が好きオレンジ色の眩しい光が同級生の顔を照らしている。
    それがとても神秘的に思えて、水木はその横顔をじっと見つめていた。
    二人以外は誰も居ない教室の窓に寄り掛かり、グラウンドから聞こえる部活動の声をBGMにしながらぼんやりと過ごしている。
    毎日じゃないけれど、水木はこの時間が一番好きで大切にしている。
    これからのことや勉強のこと、クラスメイトの話していたこと、ゲームや音楽の話、その他愛もない時間が水木には何よりも変え難く、愛おしい時間だ。
    話も途切れて、でも何だか物足りなくてまだ帰りたくなくて、水木は窓枠に肘をついて左の頬を伏せる。
    青年も右隣でただグラウンドを眺めているだけで何も言わない。
    水木は青年をじっと見つめる。
    通った鼻筋、短い睫毛の先に光が当たり瞬きをする度にその光が動いて、それを見ているだけで鼓動はとくんと跳ねた。
    横顔なんて見慣れている筈なのに、どうしてこんなにも目が離せないのだろう。
    ずっとこのままで、時間が止まってしまえばいいのに。
    そんなこと起こるわけがないと分かっているのに、それでも願ってしまうのは、いつかは別々の道へと進むことになるから。
    ずっと隣に居たいけれど、それは無理だとわかっている。それでも、側に居たい。
    ──ああ、俺はこいつの事が好きなんだ。
    ずっと気付かないふりをしてきたけれど、今はっきりとわかった。
    視線を送るだけでこの気持ちが伝わればいいのに、だって言葉でなんて伝えられない。
    お互いの思う関係性はきっと違うだろうから、もしこの気持ちがバレてしまったら、もう隣に並ぶことは許されないと思う。
    だったら、今この時間だけでも瞳に焼き付けてしまいたい。
    なんて思いながら、水木は青年を見つめ続ける。

    「なぁ、お前の視線が痛いんだけどさ。俺の顔に何か付いてんの?それとも、俺の顔に惚れたか?」

    青年が水木の方を向き、いつもの調子で言ってくる。
    表情が乏しいと周りは言うが、水木からしたら瞳はこんなに雄弁なのになと思う。
    今だって表情は変わらないけれど、まるで揶揄うような瞳で水木を見ている。

    「惚れてねーよ。自惚れんのも大概にしろ」
    「何だよ、じゃあそんな目で俺を見るなよ」
    「そんな目って、どんな目だよ」

    水木がいつもの調子で返すと、突然青年が体を寄せてきた。そして顔を近付け、何をされるのかと身構えてしまった水木の顔を覗き込む。

    「何か、物欲しそうな目?」
    「……は?」

    じりじりと顔が近付く。何をされるのかわからなくて、反射的に水木はぎゅっと瞼を閉じている。
    そんな水木の様子に青年はくすっと笑い、そのまま無防備な水木の唇に軽くキスをした。
    何が起こったのかわからなくて瞼を開くと、青年の顔が余りにも近くにあって驚いてしまう。

    「え、なに、何をした?」

    がばりと体を起こして両手で口を覆う。目を大きく開いてわたわたとしながらも青年を見ると、その瞳は愛おしむ気持ちで溢れていた。

    「俺の気持ち、わかった?」
    「気持ちわかったって、そんなこと言われても……」
    「お前って本当に察しが悪いよなー。俺、いま心臓バックバクなのに」

    青年が水木の手を掴み、自分の胸へと持っていく。
    手のひらに伝わるどくんどくんと大きな鼓動に、水木の頬が熱くなった。
    揶揄っていない、これは本当の気持ちだ。
    風が二人を包み、カーテンが揺れる。水木は何も言えないまま、青年の吸い込まれそうな瞳をじっと見つめていた。
    青年のことが好きだ。この気持ちは勘違いなんかじゃなくて紛うことなき本物で、だからこそ言葉なんて出て来ない。

    「水木、俺はお前のことが好きだよ」

    薄い唇が零した言葉に、水木の頬は更に熱くなる。
    そうであればいいのにと思ったことが本当だったなんて、これは夢なんじゃないだろうか。
    水木は自らの頬をぎゅっと抓ってみたが痛い。
    つまり目の前で起こっていることは現実だ。
    窓枠に取り残された左手に青年はそっと自分の手のひらを重ねる。熱くてほんの少しだけ湿ったその手のひらに、水木の心臓もバクバクと有り得ないほど大きく音を鳴らす。

    「どうしよう、今お前に何て言っていいかわからない」
    「そうだなぁ……お前はただ、俺を好きだって言えばいいと思う」
    「あ、う、うーん……」

    混乱して思考が停止してしまった水木の唇に青年はもう一度キスをして、優しく目を細めた。
    言わなきゃいけない言葉がたくさん溢れているのに、いま口にできるのはこの二文字だけだろう。

    「好き……俺も、好き」
    「ははっ!水木、好きだ。付き合ってくれ」

    強く体を抱き締められて更に混乱してしまった水木はその日どうやって自宅に戻ったのか、何を食べたかも記憶になかった。ただ鮮明に覚えているのは、青年の鼓動と手のひらの熱さと唇の感触。
    寝て起きたら実は夢なんじゃないかと思って眠りについたが、翌朝迎えに来た青年の表情が今まで見たことがないくらいに穏やかで優しくて、そこで水木は昨日の出来事が夢ではないことを実感する。




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