Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    84_84_hs

    @84_84_hs

    端々。成人済 侑日/右日

    @ha8shi4ba
    何かまずいことがあればどこかになにかしらください。お願いします。

    劣情を書き殴る。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    84_84_hs

    ☆quiet follow

    侑日/ G/A/N/G/S/T/A. パロ。
    倫理観.世界観注意。序章、続きは未定。

    All's well that ends well.ドン!ドン!ドン!遠くから聞こえる銃声をBGMに金色と銀色の髪を持つ双子は歩く。お金さえ頂ければ何でも運びます!を信条にした運び屋をやっている2人はちょっとした町の有名人だ。

     
    「今日はなんかやかましいな。祭りか?」
    「これを祭りて思えるお前の感性すごいな。いつものことやろ。」
    エルガストルムは今日も治安が悪い。1歩表通りを外れると売春婦から声がかかり、厳ついオニイサンから挨拶代わりの拳が飛んでくる。そこらじゅうに死体が転がってる時もあるし、暴動なんて起きた日には最悪だ。面倒な事は極力避けたい、なのでなるべく表通りを歩く。

     
    「今日どこまでやっけ」侑は基本的に仕事内容を覚えない。面倒くさいので。情報は基本的に治が握っている。
    「南通りの花屋やろ。途中裏通り通らなあかんで。」
    「えー遠いやんめんど。飛んでいけたらええのに。」
    「アホ言うとらんとはよ歩けや!」
    そういえば先程の銃声は南通りの方面から聞こえていた気がする。しかも裏通りを歩かなければならないときた。こういう時は面倒に巻き込まれるのが定石だ。少しうんざりとしながらサムの後ろを歩く。
     

    面倒事に巻き込まれるのでは、という予想は杞憂に終わった。道中何事もなく依頼主の花屋に着くと治だけ店に入っていく。「今日はちょっと時間かかるかもしれん」そう言う治に軽く返事をして侑はフラフラと歩き始める。そういえば煙草が切れそうだったから買いに行こうと目的地を決める。たしか近くに煙草屋があったはずだ。しかしなんかさっきから聞こえる喧しい音が近づいている気がしなくもない。そう思っていると、
     
    「そこどいてくださあああああい!!わぁぁぁぁぁ!!!」
     どこからか聞こえる声に一瞬びくりとするが周りを見渡しても誰もおらん。どこから聞こえよる?と疑問に思ってると降ってくる影。影?
    「上かい!」
     バッと見上げるとオレンジの髪をした少年が何かを叫びながら降ってきた。親方空からオレンジが!やないねん。やっぱり面倒事起こるやん!流石にそのまま落ちると頭からズドン、首がぐんなり曲がってこの世にサヨナラやろうから取り敢えず腕を広げ受けておく。思ったより軽い衝撃に拍子抜けした侑は腕の中の少年を見た。小さい。年齢は15歳くらいだろうか、もっと幼いかもしれない。ブカブカのパーカーに白い半ズボン。オレンジの明るい髪とツリ目がちな目と同じ色の瞳。チャリ……と僅かに音がするその首にはドッグタグ。

     
    「なんやタグ付きか」
    『タグ付き』所謂黄昏種トワイライツの事だ。薬の投与により身体能力が常人より異常に発達しており、代わりに薬自体に強い依存性・心神喪失などが起こる。またその子供には遺伝的後遺症が強く現れ、その上心身の欠損、寿命が健常者ノーマルより短いのが特徴。なんで降ってきたのかはよく分からないが、そのまま腕の中に置いとくのも忍びないのでとりあえず少年を降ろす。

     
    「すみません、助けてもらって。ありがとうございます。」
     そう言ってへにゃりとはにかむ少年はこの町にそぐわない雰囲気をしている。ましてやどこへ行っても虐げられていたであろう黄昏種トワイライツが纏う雰囲気ではない。不思議に思って凝視してると周りがドタバタと騒がしくなってきた。「こっちへ飛んだ!」「探せ!」などと聞こえる。少年の後ろから聞こえる声の主が「いたぞ!あいつだ!」などと叫んでいる。うわめんど。
     

    「やば!すみません!飛びます!」
    「え?飛ぶってなに?」即座にグイッと引っ張られその細腕のどこから力が入っているんだろうかと疑問に思う間もなく俵担ぎをされる。俺190近くあるんやけどな…と遠い目で揺らぐ視界が上下逆さまに留まると、少年がグッと力を入れた瞬間地面を蹴る。正しく『飛んだ』

    視界が拓ける。追いかけてきた男たちが小さくなる。下に見える木々、家の屋根、ビルの屋上。上へと飛ぶ。飛ぶ。


     
    「ホンマに飛んだな!」
    「はい!俺は飛べます!」
    「てか普通に着地できるやん!え?自分何なん?」
    「へへへ…俺は日向翔陽です!」
    「名前は聞いとらんし全然わからん!」

    ニコニコと元気に笑う少年に混乱しつつも、仕事中だということを思い出した。そろそろ治の仕事も終わる頃合だろう。「もいっかい飛べる?あそこらへんとか行ける?」「はい!」とりあえず楽だから、というだけの理由でタクシーよろしく翔陽くんを使うことにした。決してあの空中散歩が面白かったとかではない。断じて。
     

    よく分からん空中散歩を楽しんだ俺は元の花屋に戻ってきた。翔陽くんを連れて。治は既に仕事を終えたらしく金を数えながら待っていた。俺らに気づくと一瞬目を見張って声をかける。
    「どこ行っとったん。んでそれ、なに?」
    「翔陽くん。」
    「いや知らんがな。」
     ヒクヒクと顔を引き攣らせて2人を見る治は見るからにクソ面倒事を引き連れてきた片割れにブチギレる。

    「勝手に犬猫みたいに拾ってくんな!誰が面倒見んねん!飯も作れへんくせに!元いた場所に返してこい!」
    「散歩もさすから大丈夫や!」
    「なにが大丈夫やねん!ドアホ!」

    ギャイギャイと言い合い取っ組み合いを始めそうな2人をポカンと口を開けて見るオレンジ頭に気づき声をかける。
    「翔陽くん、ウチおいで。なんかようわからんけど悪いようにはせんよ。あ、俺侑な。こっちは治。よろしゅう。」
    後ろでなにやらクソでかいため息が聞こえたのは気のせいやと思っとく。


     
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works