始まりを告げるカウントダウン「『沈黙の7秒』って知ってる?」
読んでいた雑誌から顔を上げてアンナが宮城に訊ねた。問われた宮城はアイスを探す手を一瞬止め、僅かに片眉を上げて困惑を隠した。冷凍庫へと顔を向け、あー、と声を零しながらお目当てのアイスキャンディーを手に取る。もう一度アンナの方へ視線を向ければ、宮城と同じ少し重い瞼の瞳がこちらを見ていた。これは答えなければいつまでも訴えかけられるやつだ。面倒くさそうに個包装の袋を開け、宮城はシラネ、と素っ気なく返しアイスを口へと運ぶ。舌先で撫でれば冷たさの後に優しいミルクの味が広がって、歯を立てればさくりと雪のような食感を感じた。
「なんかね、相手のことを見つめて7秒間ずっと目が逸らされなかったら、その相手は自分に好意を抱いているんだって」
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