仕事仕事に追われる日々で、けれど自分で望んだ立場に就いてのことなので、多忙を嘆くつもりはない。ヴェインをはじめリーダー役の者たちにも同様の負荷を負わせていることも、申し訳なくはあるが、彼等もこの国を良くしていきたいと志を同じくしているのだから、受け入れてくれているものと信じている。
そんな多忙な身であればこそ、息抜きのイベントは大事なんだ。イベントだからこそ治安維持のため普段以上に警邏の人数を割くが、できる限り全員が半日以上のオフになるように組んでいる。騎士団内でも無礼講で、それぞれに企画して楽しんでいいことにもしている。
そんな数あるイベントのなかでも、ランスロットの愛するものがやってくるという数日前、ジークフリートがフェードラッヘへやって来た。個人的には「帰ってきた」と言いたいところだが、今彼の所属するのはグラン率いる騎空団であるのを忘れないよう、自戒のためにその言葉は、脳内であっても選ばない。
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