無題 最後に手袋の片割れをピンチハンガーに吊り下げる。これは弟の物だろう。同じ物を使っているが、ついているくせが違う。……少々自信はないが。
清々しい秋晴れの下、二人分の洗濯物が風に揺れる。日は少々低く、気温も上がりきっていないためためか冷たい風が服の隙間から入り込む。
はためく色違いの服たちを満足気に見やったマリオは、暖かいお茶が飲みたくなってきた、と軽くなった洗濯カゴを抱えて身をひるがえした。
昨日油を差した扉は、軋むことなく開いた。よしよしと内心頷き、弟に呼びかける。
「おーい、干し終わったぞー」
「ありがとう!」
ひょっこりと階段の上から顔を出したルイージは、手に雑巾を持っていた。拭き掃除に入っているということは、少なくとも二階の掃除は仕上げに入っているのだろう。
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