猫の眠り『アベラルドが過労で倒れた』。
久しぶりにアスターに訪れる機会ができて、オーシディアスの王城に入るなり聞かされた言葉がそれだった。
なんであいつは自分の事となるとこうもぞんざいになるのか。俺は額に手を当ててため息をついた。
「それは心配ですね……念の為、何かの病気に罹患していないか私も診にいきましょうか」
「来ていただいたばかりのところを申し訳ないのですが……ありがたいです。ぜひお願いできますか、エレナさん」
「それなら俺も見舞いにでも行くかね」
「ええ、そうしてあげてください」
エレナと俺の申し出に頷くと、レティシアは先頭に立ってアベラルドの部屋へ向かった。
王城の廊下で人々とすれ違いながら、レティシアからあらかたの顛末を聞く。
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